Google新アルゴリズム ハミングバードは検索結果に民主主義をもたらすのか

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Googleの新検索アルゴリズム Hummingbird(ハミングバード)のリリースから早1ヶ月と少しが経過しました。

ハミングバードの導入と検索結果に与える影響については既に様々な記事があがっておりますが、(超)簡単におさらい致しますと、

  • ・自然言語検索(≒人間の話し言葉に近い言葉による検索)に強い
  • ・ナレッジグラフ表示頻度の増加

の2点が過去のアルゴリズムとの大きな違いといえるでしょう。

要するに(そして大げさに言ってしまうと)、今までは

「エベレスト 高さ」

で検索しないと出てこなかったエベレストの高さに関する情報が、

「エベレストは何メートル?」

というより人間の話し言葉に近いクエリでの検索でも取得可能に。

更にはナレッジグラフの表示頻度が高まったことにより、欲しい情報がひと目で分かるようになったと言うわけです。(画像↓を参照)

(ハミングバード導入前)

beforehb

(ハミングバード導入後)

afterhm

若干誇張した説明にはなりましたが、概要だけでもお分かり頂ければ幸いです。

ハミングバードとソーシャル・リンク・ビルディング

ソーシャル・リンク・ビルディングとは、フェイスブックやTwitter、そしてグーグルプラス上での人気を集めていく試みのこと。

あなたがイイねを押す度、共有する度、リツイートする度、そして「+1」する度に、該当サイトやページのソーシャル評価が高まっていくわけです。

「彼女は100イイね!を貰っていて人気が伺える」

「彼の記事は2人にしか共有されていないし、あまり良質なものではないのだろう」

読者の皆様も意識はせずとも少なからず心中で「SNS上での評価=発信者の評価」と考えることが少なくないはず。

SNSが私達の生活にますます欠かせないものになってきた今日、ソーシャル評価はより重要な意味を持ち始めているのです。

そしてここで持ち上がるのが1つの疑問。

GoogleはSNS上での評価を検索結果に反映しているのか?

自然言語検索やナレッジグラフが大きな注目を集める一方で、やや影を潜めているのがハミングバードとソーシャル・リンク・ビルディングの関係。

従来グーグルは、

  • ・主観的評価(検索ロボットによるコンテンツやサイト設計の評価)
  • ・客観的評価(サイトがどれだけ多くのウェブサイトに支持されているのかを被リンクデータから評価)

の主に2つの観点から検索結果を決定してきました。

以前は被リンク数が検索結果の決定に大きな影響を及ぼしていましたが、近年は検索ロボットの進化やSEO業者による不自然な被リンク・ビルディングを理由に、コンテンツ(主観的評価にあたる部分)の重要性が増しているのは皆様ご存知のことでしょう。

とはいえ現在も自然な被リンクは高く評価されており、今後も主観的評価と客観的評価を組み合わせて検索結果の表示順を決定することに疑いはありません。

しかしここは天下のGoogle。

世間の流れを無視して古い評価に固執するわけがありません。

ソーシャル評価の重要性が増す中、新検索エンジン ハミングバードはページやサイトのソーシャル評価をより正確にプロセス出来るようになったと多くのメディアやリサーチが伝えているのです。

もちろんGoogleのアルゴリズムの詳細は外部の誰にも分かりませんが、ソーシャル評価が検索結果決定プロセスの1要因であることは間違いないといえるでしょう。

すると議論の中心は、

  • ・ソーシャル評価が現時点でどれだけ重要な指標なのか
  • ・ハミングバードはどのようにソーシャル評価をプロセスしているのか

の2点。

ソーシャル評価の重要性に関しては、ハミングバード導入からまだ間もないこと、アルゴリズムは絶えず変動することを考慮すると、現時点での重要性を推測することはあまり意味のないことに思えます。

一方で、ハミングバードによるソーシャル評価のプロセス方法に関しては、過去の経験から比較的正確な推測が出来るのではないでしょうか。

被リンクの評価基準から考える

Googleが現在用いる被リンクの評価基準を理解せずに、ハミングバードによるソーシャル評価のプロセス方法を推測することは不可能です。

現在グーグルは、

  1. ・被リンクの総数
  2. ・被リンク元の総合的評価
  3. ・被リンク先と被リンク元との関連性
  4. ・ドメイン分散度(被リンク総数の内、どれだけ多くのドメインが存在するか)
  5. ・IP分散度
  6. ・アンカーテキスト分散度
  7. ・アンカーテキスト周辺のテキスト情報との関連性
  8. ・リンク位置(サイドメニューやフッターよりも、本文中のリンクのほうが高評価と言われています。)
  9. ・被リンク発生の間隔(「毎月15日に30本のリンクがはられる」といった不自然な規則性はペナルティの対象になります。)
  10. ・被リンクされている期間

などの判断基準を基に「客観的評価」を下しています。

精度に関しては未だ不明瞭な部分が拭いきれませんが、ソーシャル評価に関しても(特に最初の5項目に関しては)以下のように類似した基準の基に判断していると考えて何ら不思議はないでしょう。

  • ・ソーシャル評価(イイね、リツイート、+1など)の総数
  • ・ソーシャル評価元(SNSユーザーそのもの)の評価
  • ・該当サイトとSNSユーザーの興味・関心との関連性
  • ・SNS分散度(全ソーシャル評価の内、SNSプラットフォームは分散されているか)とユーザー分散度(同じユーザーにばかり支持されていないか)
  • ・IP分散度

また、

  • ・「共有」や「リツイート」時の追加コメントの関連性(リンクをSNSで共有したユーザーによる「マーケティング担当なら絶対読むべき!」というコメント)
  • ・「共有」や「リツイート」時の他ユーザーによるコメントの量と関連性(共有されたコンテンツに対する他ユーザーによる「興味深いね」、「SEOって難しいね」などのコメント)

などが今後評価基準として浮上することも可能性として否定できず、被リンクの評価同様にソーシャル評価も多面的な基準に基づいて良し悪しが判断されることでしょう。

Google Hummingbirdは検索結果に民主主義をもたらすのか

「ソーシャル評価が検索アルゴリズムに加われば、検索結果にユーザーの声がより直接反映されるようになる」

そんな淡い期待がハミングバードの導入後ちらほらと見受けられました。

人々の声が直接かつ平等に検索結果の決定につながる「検索エンジンの民主主義化」を期待したものであり、サイトやブログを所有していないユーザーを除外するGoogleの被リンク評価に対する批判の意も込められていたのでしょう。

しかし、上記で説明したハミングバードによるソーシャル評価のプロセス方法が正しいとすれば、「誰もが同じ一票の価値を持つ民主主義の原則」は守られないことになります。

つまり、あなたのSNS上での評価と一票の価値は比例して変動してしまうわけです。

また、サイトを製作する手間がかからないことで、票の操作も容易になることが予測されます。

アカウントを量産して検索結果を操作しようと試みる、不自然なリンク施策ならぬ不自然なソーシャル施策が可能になるのです。

今後の課題

本記事の中で私は、ハミングバードとソーシャル評価を取り巻く議論の中心が

  • ・ソーシャル評価が現時点でどれだけ重要な指標なのか
  • ・ハミングバードはどのようにソーシャル評価をプロセスしているのか

の2点にあると記述しました。

現時点での重要性は未だ不明瞭であることに変わりませんが、私が述べたハミングバードによるソーシャル評価のプロセス方法が多かれ少なかれ正確であれば、今後ソーシャル評価が取り立てて重要な検索結果決定要因になる可能性は極めて低いと言えるでしょう。

ソーシャル評価は被リンク同様にアルゴリズムを構成する要因の1つでしかなく、今まで同様「自然にソーシャル評価を高めていくこと」が何よりの課題です。

一方で、ソーシャル評価はリンクと違ってその拡散性の高さからレバレッジが効きやすい利点もあります。

今までソーシャルを意識せずにSEO対策を行なってきたのであれば、ハミングバード導入を機会にSNSへの露出度を意識し始めるのもいいのかもしれません。

まとめ

  • ・ハミングバードは自然言語検索に強く、ナレッジグラフの表示頻度が高いという特徴があります。
  • ・ハミングバード導入によって、ソーシャル評価が検索結果の決定に多かれ少なかれ影響をきたしはじめると考えられます。
  • ・被リンク同様の評価基準が設けられれば、ソーシャル評価を通じてユーザー一人一人の声が検索結果に反映される「検索エンジンの民主化」は起こらないといえるでしょう。
  • ・ソーシャル評価は被リンク同様にアルゴリズムを構成する要因の1つでしかなく、今まで同様「自然にソーシャル評価を高めていくこと」が何よりの課題です。




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SFCを2010年卒業。塾長賞受賞。専門領域は、ビジネスコンサル・デザイン。NTTデータにて金融事業を企画・運営後、ジャーナリスト団体、『ワードストライク』を立ち上げる。ITブログメディア growth hack japanのライターや、Curazy(台湾版)の編集長を行う。


8kumo

Author: 8kumo

SFCを2010年卒業。塾長賞受賞。専門領域は、ビジネスコンサル・デザイン。NTTデータにて金融事業を企画・運営後、ジャーナリスト団体、『ワードストライク』を立ち上げる。ITブログメディア growth hack japanのライターや、Curazy(台湾版)の編集長を行う。

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