電子機器、本、おもちゃ。

どれを買うにも訪れるサイトの少なくとも上位3番目にはアマゾンが入っているはず。

しかし、「ネット通販といえばアマゾン」というブランディングに成功したアマゾンの野望はもう止まることを知りません。

アマゾンフレッシュ、そして…

アマゾンが先日発表した生鮮食品の即日デリバリーサービス アマゾンフレッシュは、通販業界だけでなく、全世界の小売店を震撼させました。

「価格優位性の高い」という強固なイメージを持つアマゾンの生鮮食品業界参入は、オンライン・オフライン問わず業界に衝撃を与えたのです。

追い打ちをかけるようにロイター通信が報じたのはアマゾンが新サービスAmazon Pantry(アマゾンパントリー)を計画しているというニュース。

生鮮食品専門のアマゾンフレッシュとは別に、洗剤やトイレットペーパーなどの家庭用品をどこよりも安く速く届けるサービスになるとロイター通信は報じています。

この動きは明らかに小売業界大手のコストコを追随する一手であり、アマゾンは同じ週に二度も小売業界を驚かせることになりました。

アマゾンは店舗型小売店に勝てるのか

現状では、日用品の売上を見ると、コストコやウォルマートを含む各米系大型店舗型小売店が売上で圧倒的にアマゾンに勝っています。

しかし、アマゾンフレッシュやアマゾンパントリーの存在から、アマゾンは日用品業界のマーケットシェアを貪欲に狙っていることは間違いなく、今後熾烈な争いが繰り広げられることが予測されています。

では、アマゾンが小売店業務を拡大する上で立ちはだかる壁は一体どこにあるのでしょうか

・習慣

生鮮食品や日用品は地元のスーパーで買う。長い月日の中で習慣化したこの行動を覆すことは、並大抵のインセンティブではかなわないでしょう。

・価格

生鮮食品や日用品を通販で扱うウェブサービスが最も苦戦する要因が価格です。大半の消費者は「買い物に行かなくて済む分割高でもかまわない」と思うほど価格に対して甘い考えは抱いていないのです。

・スピード

生鮮食品や日用品の販売は、本や電子機器に比べて欲求の喚起から手元に届くまでのスピードが命です。同日配達はもちろんのこと、ストックが切れそうなときにタイムリーに届く仕組みや、欲しい時にすぐ届く速達サービスが成功の鍵になります。

上記からアマゾンが小売業界をリードするにはまだまだ高い壁が存在することが分かりますが、もちろんアマゾンも戦略なしに大きな一手を打つほど地に足がついていないわけではありません。

例えば最近話題になったアマゾンの無人飛行機型配達。オーダーして30分以内に無人飛行機が本も生鮮食品も届けてくれる近未来を思わせるサービスなんです。

予てよりアマゾンCEOのジェフ・ベゾスは卸価格と小売価格の差額を(アマゾンにとって有利に)最適化するつもりはない。私達が求めているのはフリーキャッシュフローと顧客ロイヤリティを最大化することであり、これは価格を抑えに抑えることでしか達成できない。(意訳)」と発言しています。無人飛行機型配達が現実になるにはまだ少し時間がかかるかもしれませんが、価格戦略では今後も変わらず抜かりがなさそうです。

まとめ

・即日生鮮食品配達サービスのアマゾンフレッシュに引き続き、即日日用品販売サービスアマゾンパントリーの計画が伝えられています。
・アマゾンは大型店舗系小売店に真っ向勝負を挑んでおり、熾烈な闘いが予想されます。
・一方、日用品や生鮮食品の販売にはまだまだ高い壁が存在しており、価格と配達スピードを改善し、習慣を打ち破る努力がアマゾンには求められています。