LinkedIn、使っていますか?

「いいえ」と答える方が大半かもしれません。

LinkedInといえば世界中で提供されているプロフェッショナル・ネットワーキング・サービス(PNS)ですが、日本のユーザー数を国別で見ると40番目。フィリピンやインドネシアを含む発展途上国のLinkedInユーザー数のほうが、日本のそれよりも圧倒的に大きいことが統計で明らかになっています。

しかし、「LinkedInが日本で流行らない」=「PNSは日本で流行らない」とするのは少々早合点ではないでしょうか。世界中のビジネスマンが仕事のツールとして毎日LinkedInをチェックしていることを考えれば、(GDPの観点から)経済大国である日本にそのニーズがないと考えるほうが不自然です。問題はLinkedInが日本の独特なビジネス文化に適応できていないことにあり、日本でもPNSが流行する可能性は大いにあるのです。

そこで本日は、アメリカではLinkedInの影に隠れているものの、日本ではニーズがありそうなPNS「OPEN Forum」と、そのアクティベーション最適化施策をご紹介したいと思います。

LinkedIn VS. OPEN Forum

クレジットカード決済のアメリカン・エキスプレスは、2006年に「オープンフォーラム」と称したマーケティングプラットフォームをローンチしました。

当時はソーシャルメディアという概念が今ほど発達していませんでしたが、ローンチ以来、オープンフォーラムは起業家がビジネスチャンスやアドバイスを求めるコミュニティとして大きな成長を遂げています。

アメリカを始めとする世界各国ではLinkedInの台頭により影を潜めていますが、OPEN ForumとLinkedInとの2つの違いに、OPEN Forum(もしくはその類似サービス)が日本で成長する可能性が秘められています。

違い①職探しVS.交流

日本でLinkedInが流行らない理由に、海外ほど転職に対する意識が高くないことが挙げられます。もちろん全てのユーザーが転職目的でLinkedInを利用している訳ではありませんが、多くのユーザーは一度築いたコネクションを将来的なキャリアアップに活用するためにLinkedInを利用していると言われているのです。

その点、LinkedInとは対称的に、OPEN Forumはビジネス関連の興味関心が近いビジネスマン同士の交流を促進することに重きを置いています。キクシルなどを見ても、ビジネスに関するアドバイスや意見の交換は日本でも活発に行われており、キクシルの場合は著名なビジネスマンの意見が重宝される傾向にあるとは言え、その裾野がより一般的なビジネスマンに拡大する可能性は必ず存在するはずです。

違い②Facebook VS. Twitter

旧来、FacebookとTwitterの違いは、知っている人同士で繋がる前者と、知らない人同士でも繋がれる後者という関係にありました。同じように、LinkedInは面識のあるビジネスマン同士が繋ることを前提としている一方で、OPEN Forumは面識のないビジネスマン同士でも、意見・アドバイスの的確さや面白さを評価基準に、気軽にフォロー関係を築くことが出来るのです。

LinkedIn、OPEN Forum共に実名制ではありますが、気軽にフォローし合えるかどうかで、「カジュアルなビジネスコネクションが浸透していない」日本においては、アクティベーション時に得られる満足感が大きく変わると言えるでしょう。(参考: http://blog.btrax.com/jp/2013/09/08/linkedin2/ )

LinkedInが世界に名を轟かせている以上、当然世界進出は困難を極めることが予想されますが、PNSのマネタイズ手法は無制限に存在するが故に、一定量のユーザーが確保できればマネタイズに躓く恐れは無いはずです。

OPEN Forumのアクティベーション最適化

LinkedInが世界最大手PNSとしての地位を固めている一方で、OPEN Forumも着実にユーザー数を増やしています。現在までにTwitterのフォロー数は52,000、フェイスブックのいいね!数は22万を超えており、その背景にはグロースハックの痕跡が窺えます。

特に注目したいのは、AARRRの2番目のAであるActivation(初回体験)。LinkedInでは知人とのコネクション構築やインフルエンサー(影響力の高い人)のフォローを初回体験時に求められる一方で、OPEN Forumでは、各種ビジネス関連カテゴリの内から3種類のサブカテゴリをフォローすることが求められます。興味のあるカテゴリをフォローすると、関連した投稿が自分のフィードに流れてくる仕組みです。

open3

「カジュアルなビジネスコネクションが浸透していない」日本において、初回体験時にいきなり知人と結びつくことは難しいと考えられるため、興味関心のあるカテゴリを選ぶだけで関連投稿がフィードに現れるOPEN Forumは、PNSに慣れ親しんでいない日本人にとっても使い勝手の良いシステムとなっているのです。

フォロー設定が完了すると、ウォークスルー画面が登場します。

open4

(画面①「Mark as helpful」ボタン(いいね的な「役立つね」ボタン)の説明)

open5

(画面②質問に回答する昨日の説明)

シンプルな画面構成で、主要機能2点を紹介しています。説明文は、もう少し端的だとベターな気もします。

open7

肝心の投稿画面のウォークスルーが無いと思いきや、トップ画面に誘導されると投稿フォームの横に説明がポップアップで挿入されています。総合的に、シンプルで素晴らしいウォークスルーです。

open

上記はOPEN Forumの投稿及びフィード画面です。LinkedInの投稿画面と大きくことなるのは、「Ask for Advice(アドバイスをもらう)」と「Share your insight(考察をシェア)」の2つのタブが存在していること。システム上の都合もあるとは思いますが、2つのタブを設置することで、初めて訪問した右も左もわからないユーザーにしっかりと正しい使い方が伝わる設計になっています。これだけで、初回体験の満足度に大きな違いが出てくるでしょう。

opennn

(LinkedInのフィード。何をかけばいいのか正直分からない。)

以上、OPEN Forumのアクティベーション最適化施策をご紹介致しました。

世界ではLinkedInがスタンダードである故に、OPEN Forumや類似サービスが今後爆発的な成長を遂げる可能性は低い一方、独特なビジネス文化を持つ日本だからこそLinkedInを超えるPNSになる可能性を持ち合わせています。

日本の企業文化を意識し、OPEN Forumのようにしっかりとグロースハック施策を実装すれば、今後日本に流行PNSが生まれる日も遠くは無いでしょう。