3/11の記事『「希少性の原理」を利用したグロースハック成功例・失敗例 8選』はこちら
競合アプリのリテンション(継続利用率)とフリークエンシー(利用頻度)を知ることは、グロース戦略を構築する上で欠かせないステップです。
本日ご紹介する「カテゴリ別カスタマーロイヤルティベンチマーク」を基に、リテンション最適化の進捗状況を相対的に捉え、自社のアプリの強みと弱みを再認識しましょう。
記事の最後にはベンチマーク早見表も用意しており、新規でアプリを制作する際の事業計画にも役立つこと間違い無しです。
カテゴリ別ロイヤルティーベンチマーク
本日紹介するベンチマークは、アプリのマーケティン・アナリティクスサービス「Flurry」が提供するもの。x軸はダウンロードから90日間の継続利用率を、y軸は一週間当りの利用頻度(回数)を表しています。
(画像元:Flurry)
各アプリカテゴリはリテンションやフリークエンシーに応じて4種類にグループ化され、それぞれのグループには大まかな傾向が存在。個別のカテゴリのベンチマークだけでなく、カテゴリが属するグループの傾向も理解しておきましょう。
高継続利用率, 高利用頻度
ダウンロード以降90日間の継続利用率も、1週間の利用頻度も高いのがグループ(I)です。
特徴として、
- ・グループ(I)に属するのは「コミュニケーション(インスタントメッセンジャーなど)」と「ニュース」の2 つのカテゴリのみ
- ・該当するアプリは持続的に価値を提供する、もしくは、そうであるとユーザーによって知覚されている
- ・広告収入でもフリーミアムでもマネタイズしやすい
といったことが挙げられます。
最も魅力的なグループではありますが、コミュニケーションもニュースアプリも既にマーケットリーダーが存在する今、新規参入アプリが突出した成果を生み出すのは容易でないでしょう。
低継続利用率, 高利用頻度
ダウンロード以降90日間の継続利用率は低いものの、1週間の利用頻度が高いのがグループ(II)です。
特徴として、
- ・グループ(II)に属するのは「ソーシャルゲーム」、「SNS」、「出会い系」、「音楽ストリーミング」の4 つのカテゴリ
- ・該当するアプリは短期的な価値を提供する、もしくは、そうであるとユーザーによって知覚されている
- ・ユーザーはアプリを乗り換えることに大きな障害を感じていない
といったことが挙げられます。
ソーシャルゲームのZyngaのように、「使い捨て」ゲームを量産することでフレッシュさを保つグロース戦略も、このカテゴリであれば正攻法と呼べるのかもしれません。
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低継続利用率, 低利用頻度
ダウンロード以降90日間の継続利用率も、1週間の利用頻度も低いのがグループ(III)です。
特徴として、
- ・グループ(III)に属するのは「写真/動画」、「健康/フィットネス」、「教育」を含む多数のカテゴリ
- ・該当するアプリは(カテゴリ(II)よりも頻度の低い)一度きりの価値を提供する、もしくは、そうであるとユーザーによって知覚されている
- ・ユーザーはアプリの継続利用に価値を見いだしていないため、一度きりの利用でもマネタイズ出来る有料アプリとして売り出すのが正攻法
といったことが挙げられます。
高継続利用, 低利用頻度
ダウンロード以降90日間の継続利用率は高いものの、1週間の利用頻度は低いのがグループ(IV)です。
特徴として、
- ・グループ(III)に属するのは「お天気」、「予約」、「ナビ」を含む多数のカテゴリ
- ・該当するアプリの利用頻度は決して高くないものの、利用時ごとに提供する価値は大きい、もしくは、そうであるとユーザーによって知覚されている
- ・ソーシャル要素が低いアプリが多いため、バイラル拡散は狙いづらい
といったことが挙げられます。
「利用頻度は決して高くないものの、利用時ごとに提供する価値は大きい」という特徴から、フリーミアムモデル(アプリ内課金)が有効であると言えるでしょう。
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ベンチマーク早見表
*カテゴリ(英語)=(リテンションベンチマーク, フリークエンシーベンチマーク)
グループ(I)
- ・コミュニケーション(Communication)=(44%, 8.7)
- ・ニュース(News)=(50%, 5.2)
グループ(II)
- ・音楽ストリーミング(Streaming Music)=(23%, 8.9)
- ・ソーシャルゲーム(Social Games)=(28%, 7.9)
- ・出会い系(Dating)=(20%, 6.6)
- ・ソーシャル・ネットワーキング(Social Networking)=(34%, 5.2)
グループ(III)
- ・写真・動画(Photo & Video)=(21%, 4.2)
- ・医療(Medical)=(27%, 3.6)
- ・エンタメ(Entertainment)=(34%, 3.3)
- ・クーポン(Deals)=(30%, 5.2)
- ・健康・フィットネス(Health & Fitness)=(30%, 2.8)
- ・教育(Education)=(31%, 2.7)
- ・音楽(Music)=(20%, 2.5)
- ・(待ち受け等)のカスタマイズ(Personalization)=(23%, 2.2)
- ・通販(Retail)=(33%, 1.9)
グループ(IV)
- ・スケジュール等生産性(Productivity)=(35%, 4.6)
- ・スポーツスコア(Sports Scores)=(51%, 4.8)
- ・ナビ(Navigation)=(39%, 3.8)
- ・一人用ゲーム(Single Player Games)=(42%, 3.7)
- ・天気(Weather)=(55%, 3.7)
- ・金融/支払いサービス(Banking & Payments)=(36%, 3.7)
- ・本(Books)=(39%, 3.5)
- ・ユーティリティー系(Utilities)=(43%, 3.2)
- ・旅行(Travel)=(45%, 2.6)
- ・ビジネス(Business)=(35%, 2.3)
- ・飲食(Food & Drink)=(39%, 2.0)