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諸外国では、北米向けに英語版アプリを同時ローンチするケースがスタンダードになりつつあります。
日本のスタートアップも遅れを取る訳には行かないのは当然ですが、日本のデザインは良く言えば独自性が高く、悪く言えばガラパゴス化に陥っており、海外、特にデザインセンスが大きく異なるアメリカ進出を視野に入れる場合には必ず見直す必要がある重要な項目です。
そんな現実を考慮して、本日は北米のアナリティクスソリューションサービス「KISSmetrics」が提供するインフォグラフィックに基き、海外進出に必ず役立つカラーコーディネートとブランディングの関係をご紹介致します。そのまま日本向けのデザインに活用できる情報もご紹介していますよ!
色彩とブランディングの関係
日本同様、北米においても、カラーコーディネートが消費に与える影響は強いことが実証されています。
KISSmetricsによると、新商品購入の際に米国の消費者が最も気にかけるのが「商品の見た目(Visual Appearance)」。
その中でも「色彩(Color)」は、他のどの要素よりも圧倒的な重要性を誇っています。
また、適切なカラーコーディネートは消費者からの信頼に直結するブランド認知を80%向上させるというリサーチ結果も出ており、その重要性が見過ごされるべきではありません。
以下で紹介する各色や消費タイプ別の特徴は、サービスイメージ全体の色彩はもちろん、サイトやアプリを構成する各要素(ボタン、ナビゲーションなどなど)の配色を決定する際に役立てましょう。
8つの色が持つ効果と実例
色彩が消費に与える影響を理解したところで、一般によく使用される各色が持つ特徴を見ていきましょう。各色が持つ効果は日本と比べて特段の相違が見受けられないため、日本向けのデザインにも活用できそうです!
①黄色
黄色は、一般的に楽観的で若々しい印象を与えます。北米では、「ウィンドウショッピング中のユーザーの注意関心を引き付ける」目的で利用されています。
若者に大人気のスナップチャットのイメージカラーも黄色です。
②赤
赤色は、一般的にエネルギーを象徴し、心拍数を高める効果を持ちます。北米では、「衝動を駆り立てる」目的で、クリアランスセールの際などに頻繁に利用されています。
グーグルイメージで「Sales」と検索すると、検索結果が見事なまでに赤のロゴで埋め尽くされているのが分かります。
③青色
青色は、一般的に安心感と信頼感を演出することが期待されます。北米では金融サービスやB2Bサービスに主に利用されるカラーです。
B2Bサービスで大成功を収めるSalesforceのイメージカラーも青色ですね。
④緑色
緑色は、最も聴覚に優しい色として知られています。また、緑色は富や財産と関連付けられる傾向にもあります。北米では、リラックス効果を演出するために頻繁に利用されています。
コーヒーとともにリラクゼーションの空間を提供するスターバックスのロゴも、グリーンを基調にしています。
⑤オレンジ
オレンジ色は、一般的にアグレッシブな印象を与えます。北米では、ユーザーの行動を引き起こす「Subscribe(会員登録する)」や「Buy(購入する)」などのキャッチコピーと共に利用されています。
Amazonの「Add to Cart(カートに入れる)」ボタンも、やや黄色がかったオレンジ色です。
⑥ピンク
ピンク色は、ロマンチックでフェミニンな印象を与えます。女性、特に若い女性に対するマーケティングで頻繁に利用されるカラーです。
女性下着メーカー大手のVictoria’s Secretは、15~22歳向けのブランド「Pink」を立ち上げ、若年層の獲得に成功しています。
⑦黒色
黒色は、力強さと高級感を持ち合わせた色です。高級品を扱うウェブサイトや、高級感を演出されるために頻繁に利用されています。
高級感を売りにするUberは、黒のハイヤーがトレードマークです。
⑧紫色
紫色は、落ち着きと安らぎを演出する色として使われます。北米では、女性向けの美容製品や、アンチエイジング製品のメインカラーとして淡い紫が利用されています。
(例を提示しようと試みましたが、あまり模範となるものが無かった為、割愛します)
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消費タイプ別で見る各色の効果
カラーコーディネートにこだわるのであれば、色が持つ一般的な効果に加えて、ユーザーの消費タイプに応じて配色を変えることも必要です。
①衝動買い系ユーザー
衝動買い系ユーザーは、その名の通り、衝動買いに走りやすいユーザーです。セール品やクーポンなどを見ると否が応でも購入に走ってしまうユーザーを惹き付けるには、赤、オレンジ、黒、青などの色が効果的です。
②予算順守系ユーザー
予算順守系ユーザーは、その名の通り、決められた予算の中で購買活動を行う、きっちりタイプのユーザーです。ビジネスマンに多く見受けられるこのタイプのユーザーを惹き付けるには、ネイビーやターコイズといった色が効果的です。
③ノーマルユーザー
きっちりタイプでもない、衝動買いもしない、一般的なユーザーを、ここではノーマルユーザーと定義します。日本では女性向けの色として頻繁に使用されるピンク、スカイブルー、ローズ色などが、アメリカではノーマルユーザーの購買欲喚起に利用されています。
色彩と併せて考慮したい3つの要素
プロダクトの色彩と併せて効果を発揮するのが、以下で紹介する3つの要素です。
①全体のデザイン
当然ではありますが、いくら配色が良くても全体のデザインに難があれば、ユーザーの消費意欲を掻き立てることは出来ません。
アメリカでは、デザインだけを理由にサービスの利用を決めるユーザーが42%存在するだけでなく、デザインを理由に継続利用に至らなかったユーザーが52%存在しています。色彩は、リテンションにも大きな影響を持っているのです。
②サイトスピード
オンラインサービス最大の利点は、スピーディーに欲しいものが手に入るということ。実際に、64%のユーザーがサイトスピードの遅さだけを理由にサービスの購入や利用に至らなかった経験を持っています。
また、オンライン小売り大手のアマゾンは、サイトのスピードが0.01秒低下する度に売上が1%低下するというデータを算出しています。
③コピー
消費意欲を喚起するコピー(文言)の挿入も、色彩と併せて考慮したい大切な要素です。単純に聞こえますが、キャッチコピーに「Guaranteed(保証されている)」というキーワードが含まれているだけで、60%の北米ユーザーは安心感を覚えるというリサーチ結果も出ています。
最後に
本日は、北米向けに英語版アプリを同時ローンチするケースがスタンダードになりつつある現状を考慮して、北米における色彩と消費の関係に関するデータをKISSmetricsのリサーチを基に紹介致しました。
デザイン面で親和性の高いアジアに焦点をあてる日本発スタートアップは多く存在しますが、やはり国際間の障壁が少ないIT業界でサービスを売り出す以上、ITサービスの本場アメリカ市場も視野に入れた海外展開を志したいところ。
単純にプロダクトを直輸出するのではなく、デザインを現地の趣向に合わせ、ローカル特化を極めるプロセスに本記事を活用頂ければ幸いです。