漫画「ワンピース」が人気を集める理由に、「仲間集め」を重要テーマの1つとして扱っていることがしばしば挙げられます。

社会生活を送る者であれば誰もが経験する仲間集めですが、スタートアップとなればその重要性は通常以上に意味を増すもの。

そこで本記事では、Gabrielle Karol氏によりEntrepreneurに投稿されたインタビュー記事「The 6 People Every Startup Needs」を基に、スタートアップに揃えておきたい「6種類の人間」をご紹介致します。

「そんなの理想論にすぎない」、「そんな人間必要ない」、「6人もいらない」などなど、批判的な意見も多く集めそうな元記事ですが、これからスタートアップ立ち上げを志す立場、人材が原因で起業に成功・失敗した立場の方々から、活発な議論が生まれれば幸いです。

——以下本文——

スタートアップの成功に特効薬など存在しない。でも、チーム構成は、しばしばスタートアップの成功を左右する。

そう語るのは、マサチューセッツ工科大学の博士号を取得後、RFID(radio frequency identifier)系企業「ThingMagic」を立ち上げ、2010年位はNASDAQ上場企業である「Trimble Navigation」に事業売却を行った Bernd Schoner氏。

ThingMagicは元々5人のメンバーで創業したものの、事業売却が完了するまでに残った創業メンバーはたったの二人。Schoner氏は、これをきっかけにチームダイナミクス(チームで動くこと)の重要性について深く考えるようになったと話します。

「IT企業やスタートアップには、必要な役割がいくつか存在していて、それらの役割にしっかりと注意を払えば、成功の確率は向上するんです。」

近日発売予定の「The Tech Entrepreneur’s Survival Guide」の著者でもあるSchoner氏は、この「役割」に関して、「素晴らしいチームを構成するために必要な6種類の人間」が存在すると語り、最高のチームの作り方を公開しています。

No.1 技術のスペシャリスト

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「IT系スタートアップを始めるなら、テクニカルな知識を持った人材を囲うことは恐らく誰でも共通の認識として持っているだろう。チームの技術的なアジェンダを先導する人材は不可欠だ。」

そう語るSchoner氏がは、技術的なアジェンダを先導する技術のスペシャリストを「プリマドンナ(オペラで主役を張る女性歌手)・ジーニアス(天才)」と表現しており、裏方という立ち回りではないことを強調しています。

No.2 リーダー

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リーダータイプとは、典型的なCEOタイプであり、意思決定を迅速化する強い決断力を持った人間であるとSchoner氏は語ります。

「比較的大きな数(たとえば5人)の創業メンバーを擁していると、それぞれの意見の重みを均一化して、その上で意思決定を下すことは非常に困難なんだ。民主主義は素晴らしいことだけど、スタートアップにおいてはそうとも限らない。リーダー、もしくはCEOの決断が必ずしも正しいとは限らないんだけど、リーダーとその決断が他のメンバーに支持されているなら、それに越したことはない。」

No.3 業界のベテラン

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スタートアップがしばしば見過ごしがちな一方で、その重要性を忘れてはならないとSchoner氏が語るのが、長年IT業界で手腕を振るって来た業界のベテランタイプです。

「業界についての見識が深い人材は、スタートアップにとって非常に大きな価値を提供する。彼らが目指すのはクールなものだったり、新しいものではないけれど、それでも彼らはある業界において何が必要か、心底理解しているんだ。」

No.4 営業の鬼

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『「営業の鬼」タイプの人間は、技術に関する見識だけではなく、どうやってカスタマーにプロダクトを売ればいいのかを分かっている。技術畑の人間は営業のエキスパートをチームに据えることの価値を見くびっている人も多いんだけど、誰かにお金を払わせるのであれば、問題は技術だけでなく、会社がカスタマーに与えられる価値をしっかりと考えて行動出来る人間が必要なんだ。』

企業やサービスの性質によって営業の価値は左右されますが、toBビジネスであれば、その力の重要性は明らかでしょう。

No.5 スーパースター

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「ここで言うスーパースターって言うのは、もしかした技術のスペシャリストかもしれないし、CEOかもしれないんだけど、肝心なのはスタートアップの下に人を引き付ける力を持っているということ。」

Schoner氏はそう語り、具体的な職務に関しては以下のように言及しています。

スーパースタータイプの人間の主な職務として挙げられるのは、マーケティング戦略の立案と実行。スタートアップは、いわゆるスーパースタータイプの人間を業界内の重要なカンファレンスやミーティングに積極的に送り出して、認知度を高めていくことが必要です。」

No.6 財務のスペシャリスト

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コスト管理の重要性は、組織を運営しているのであれば勿論ですが、特にプロダクトを市場に届ける前の段階においては重要な意味を持つとShoner氏は語ります。

「数字の分かる財務のスペシャリスト、はスタートアップにとって非常に重要な存在です。6人の人材を雇用出来るフェーズになければ財務のスペシャリストは前述の5人の後に採用しても良いですが、少なくともお金の管理が出来る人材が1人擁しておくことは必要ですね。」

最後に

読者の皆様は、Shoner氏が語る「スタートアップに欠かせない6種類の人間」に関して、どのような印象をお持ちになったでしょうか。

理想のメンバーであることは間違いありませんが、コストのことを考えれば、これだけの人材を一度に集めることは至難の技という印象を持たれた方も多いのではないでしょうか。

私はまだ起業経験がなく、大きな組織を統率した経験もないため多くは語れませんが、今後チームを組んでプロジェクトの始動を試みる際には、自分はどの立ち位置にあるのか、どんな人材を周りに置けば良いのかを考える上で1つの参考に出来ればと思います。