Airbnbの時価総額1兆円評価は、データサイエンスの賜物と呼べるのかもしれません。

本日は、VentureBeatに掲載された、AirbnbのHead of Data Science Riley Newman氏のインタビューを、翻訳して掲載致します。

参考:How Airbnb used data to propel its growth to a $10B valuation(VentureBeat・英語)

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前書き

データサイエンスがどのようにAirbnbのプロダクトに関する意思決定の優先順位付けと急速なグロースをサポートしたのか。

AirbnbのHead of Data Science Riley Newman氏とのインタビューを通じて、上記の疑問を理解するために必要なフレームワークを学ぶことが出来ました。

Newman氏が明かしてくれたレッスンは、あなたのスタートアップが今後データと意思決定をグロースにつなげる試みの中できっと役に立つことでしょう。

著者について:

Carl Shan

Max Song

Shan氏とSong氏は、世界トップのデータサイエンティストの考察やインタビューを集めた書籍「Data Science Handbook」の共同執筆者です。

データこそユーザーの声

Airbnbにおいて、集合データはユーザーの声として扱われるとNewman氏は語ります。

データサイエンティストは、①ユーザー同士の交流のログから「願望」を抽出し、②プロダクト・マーケティング・CSチームのために抽出した願望を解釈することによって、ユーザーの声を拡大するメガフォンの役割を果たしているのです。

Newman氏は、データについて、以下のようにも語っています。

データはあなたの顧客の声なんだ。データはあなたのコミュニティに存在する誰かが取ったアクションの記録であり、この記録は彼らがプロダクトとの関わり方に関して下した決断を表している。データサイエンティストの仕事は、これらの決断をデータサイエンティスト以外の誰かが理解出来るように、ストーリーへと変換してあげることなんです。

データと検索の改善

ユーザーの声に耳を傾けることの重要性を説く為に、プロダクト改善に向けてAirbnbがどのようにデータを使ったか、具体的な例を見ていきましょう。

マーケットプレイスとして、検索はAirbnbの肝と呼べる機能です。検索エンジンのチューニングは、顧客満足度を高め、Airbnbのグロースを促進する必要不可欠な推進力にあたるのです。

しかし、ローンチ当初のAirbnbはユーザーをどのように誘導すれば良いのか分からず、「検索指定位置から一定の距離に存在する最もクオリティの高い物件を表示する」という単純な解決法から始めるしか方法はありませんでした。

徐々にユーザーが集まるようになって初めてデータの採取が可能になり、この段階でようやく最初の検索モデルからユーザー・ドリブンの検索モデルへとシフトし、結果として顧客満足度と成約率の向上に成功したのです。

Newman氏は、このプロセスを以下のように語っています。

(データが集まった段階で、)私たちはユーザー自身にこの問題を解決してもらおうと決めたんだ。具体的には、ゲストとホストの交流ログが詰まったデータセットを利用して、ユーザーの検索指定位置(例えばサンフランシスコ)を基に、あるロケーション(例えばサンフランシスコ内のミッションディストリクト)で予約を行う条件付き確立を推測するモデルを作りました。これによって、サンフランシスコ周辺の検索結果はサンフランシスコで検索した他のユーザーが実際に予約した物件に偏るようになります。例えばミッションディストリクトとか、ローワーヘイトとかね。

ユーザーがプロダクトを利用する中で生まれたデータを活用することで、Airbnbはより良いプロダクトを届ける方法を発見したのです。

データとオーダーメイド体験

私たちは、数多くのA/Bテストを実践しています。世界中のどこにいても、どんなユーザーに対しても、直感的で満足のいく体験を提供する為に。

—Riley Newman, Airbnb

Airbnbのもう1つの具体例に、データを使って異なるユーザー層にオーダーメイドの体験を提供した例が挙げられます。

2014年初頭、アジア諸国からAirbnbを訪れたユーザーは、ホームページからの直帰率が高いという事実をデータは明らかにしました。

更に、データはユーザーが「Neighborhood(宿泊先周辺のガイド)」リンクに気を取られ、リンク先にある写真を閲覧する中で行き場を見失った結果、二度と予約プロセスへと戻らなかったことも明らかにし、データサイエンティストはすぐさまこの問題の解決に乗り出しました。

データサイエンティストが提出したデータに基づき、エンジニア陣はこの地域のユーザーに対してのみ「Neighborhood」リンクを除去。代わりにに中国、韓国、シンガポール、日本の人気旅行先を表示したところ、この地域のユーザーのコンバージョンが10%も改善したと言います。

最後に

データと真剣に向き合うことで、Airbnbはプロダクトの改善とグロースに成功してきました。

データサイエンティストと起業家としての手腕の融合は、彼らを時価総額1兆円、そして世界中に存在する何百万ものユーザーを誇る企業へと成長させ、私たちにデータとの関わり方を考えさせる貴重なレッスンを提供してくれます。

このインタビューを通じて、データをユーザーの声として扱うこと(つまりデータサイエンティストに粗データの状態である声が何を意味しているのか解析してもらうこと)、そして解析結果に基づいて意思決定を行っていくことが如何に重要か、お分かり頂けたのではないでしょうか。

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