なぜあなたの定性調査には回答が集まらないのでしょうか。

本日は、グロースハックやLean Startup/UXにおいて重要な役割を持つ定性調査にありがちな問題とその対処法を9個ご紹介します。

フリーライディング

「皆様により良い体験を届けるために、アンケートへのご協力をお願い致します。」

「より良い体験を届ける」という姿勢は素晴らしいんです。

しかし、この手の誘い文句はもはや使い古されているだけでなく、「皆様」にお願いしているなら私がやる必要もないというタダ乗り(free riding)を助長してしまいます。

回答を促す為には「あなた個人のご意見が重要である」というメッセージを効果的に伝える必要があり、その上で定性調査のカスタマイズは重要な役割を果たします。

一斉送信であるという事実を隠す努力の他にも、例えばサービスの利用履歴に基づいてセグメンテーションを行い、アンケートの内容を変えてみるなどの取り組みは非常に効果的でしょう。

チャネルが間違ってる

アンケートの内容にばかり目が行き、調査をユーザーに届けるチャネルの選択を疎かにしていませんか?

Email、Google Docs、ソーシャルメディア、直接インタビューなど、定性調査を行うチャネルは様々です。

現在はソーシャルメディアを利用した調査も多く見受けられますが、内容によってはソーシャルメディアで回答しづらかったり、何でもかんでもソーシャルメディアに依存してはいけません。

各チャネルにおけるユーザーベースの大きさや調査内容を最大限考慮したチャネルの選択を意識しましょう。

時間がかかる

回答の来ないアンケートの最もクリティカルな問題が調査にかかる時間です。

多忙を極めるユーザーの姿を想像せずにアホみたいに長いアンケートを行っても回答がくるはずもありません。

絶対に必要な情報だけを抽出することを目的に、短い調査を心がけましょう。

欲しい情報が絞り切れない場合にも、欲張ること無く何回かに分けて調査を行うと良いでしょう。

更に、実際にかかる時間を短縮するだけでなく、時間を感じさせないための努力も大切です。

残りの質問数を可視化してみたり(ゲーミフィケーション)、アンケートそのものにエンタメ性を加えてみたり、調査内容を縮小する以外にも出来ることはたくさんあるのです。

*近日中に定性調査にエンタメ性を加える手法をご紹介したいと思っています!

回答方法が複雑

調査の簡潔さは、短さに加えて回答方法の複雑さにも依存します。

①選択形式、②ショートアンサー(数字や単語の記入のみ)、③エッセイ(文章)の順で調査にかかる工数が増加することを考えると可能な限り①選択形式に回答方式を揃えることが推奨されますが、もちろん工数のみを考慮すれば調査のクオリティが低下してしまいます。

質問事項の重要性に優先順位をつけ、重要なものほど詳細な定性的データが取れるアンケート設計を心がけましょう。

インセンティブがない

定性調査の質と量が高ければ高いほど、後々ユーザーが得る満足度も高まります。

それではなぜ調査に協力することが将来的な満足度につながると理解しながら、ユーザーは調査に協力してくれないのか。

これは、英語でいう「delayed gratification」、日本語だとあまり良い言葉が思いつきませんが、人間は「即座に感じることの出来ない満足感/遅れてやってくるご褒美」をインセンティブとして受け入れない傾向にあるからです。

このジレンマを解消する施策はポイントの贈呈やクーポンなど皆様の頭にもすぐ思い浮かぶと思いますが、重要なことはユーザーにとって価値のあるインセンティブを提供すると言うこと。

ほとんどのユーザーにとってあまり価値のないインセンティブを提供しては、得る物よりも総合性のないデータに対してインセンティブを支払うことによる喪失の方が大きいのです。

ターゲットが間違ってる

プロダクトのターゲットと定性調査のターゲットは必ずしも一致しません。

たとえば「友人にこのサービスを紹介したいかどうか」というリファラルに関する質問を、継続的な利用に至っていないユーザーに聞いたところでまともな回答が返ってくるわけがないのです。

本当に有用な定性的データを求めているのなら、数を稼ぐ為に闇雲に調査を依頼するのではなく、本当に意見を頂きたいユーザーの姿をしっかり想像することから始めるとよいでしょう。

プライバシーへの配慮が欠けてる

SnapchatやWhisper/Secretなどのアプリが流行する背景には、プライバシーへの懸念が大きな理由に挙げられます。

ユーザーのプライバシーに関する懸念は、Facebookも先日のf8で匿名版Facebookログインを採用するほど重要な意味を持ち始めているのです。

実際に調査の目的以外で調査結果を利用しないことはもちろんですが、その意図を明確に伝えるだけでもユーザーの心配は幾分和らぐでしょう。

回答が来ないからって諦める

1回調査を依頼して返ってこないからといって、そこで諦めていませんか?

ユーザーも全てのメッセージを捌けるほど暇ではありません。たとえ興味関心のあるトピックでも、多忙を理由にメールやソーシャル投稿を見逃してしまうことだってあるのです。

一度調査を依頼してレスポンスが無い場合にも、再度リマインダーを送ってみましょう。

単純に同じメッセージを連続して送るのではなく、「度々すみません..」といったニュアンスの文章を付け加えてみたり、インセンティブを追加したり、工夫をこらすことが大切です。

全てが機械的で受動的

定性調査の量ばかりに目が行き、ネットを利用しない、より積極的かつ非機械的な調査方法をチョイスから除外していませんか?

Lean StartupやLean UXの教えにもある通り、調査はオフィスを飛び出すことから始まります。

シリコンバレーではスタートアップのCEOが直接カスタマーに電話をかけることも至極一般的であり、自ら回答を求めていく姿勢を忘れてはいけません。

最後に

明日は退屈な定性調査を楽しくする新しい調査手法をご紹介します!

お楽しみに!