停滞する成長。会社を後にするエグゼクティブ。

グロースハックの代名詞としてもおなじみのツイッターが、今大きな苦境を迎えています。

なぜ世界有数のユーザー数を誇るソーシャルメディアがユーザー獲得に苦戦しているのか。

本日は、TheNextWebに掲載された記事「Signing up for a new Twitter account shows why the company is struggling to grow」を参考に、ツイッターが停滞する真の理由をアクティベーションに結びつけて紹介します。

バリュー・プロポジションとの相違

ツイッターの新規登録を完了すると、新規ユーザーは既存ユーザーをフォローするように推奨されます。

試しに新規登録プロセスを辿ってみると、その瞬間にアクティベーション施策に欠陥が存在することが分かります。

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まずはじめに紹介されたのが、首相官邸、防衛省などのオフィシャルアカウントや天気予報といったライフライン系のアカウント。

特に天気予報などは有用である一方で、ライフラインを何よりも先に紹介するのは、ツイッターがトップページで掲げる「会話をはじめましょう。興味を探求しましょう。そして、見識を広めましょう。」というバリュー・プロポジションに相反していると言われてもおかしくはありません。

「会話」の欠如

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次にフォローを推奨されるのは、芸能人や文化人を含む、ツイッターを利用する著名人のアカウント。

音楽やお笑いなど、カテゴリ別に著名人を検索することができ、趣味や趣向に合わせてフォローするアカウントを決められる点では、ライフラインの推奨よりもツイッターが掲げるバリュー・プロポジションに即していると言えるでしょう。

しかし、フォロワーの数が多く、交信よりも発信に重き置く著名人のアカウントをフォローするだけでは、ツイッターが提案する「会話」が生まれることはありません。

ほとんどの場合有名人からフォロー返しを受けることはなく、一方的なフォローで完結してしまうのです。

ソーシャルメディアの魅力は人との交わりであるにもかかわらず、ツイッターはウォークスルーを通じて自らアンチ・ソーシャルな利用方法をユーザーに強いているといっても過言ではないでしょう。

もちろんこれでは情報を発信するという楽しみが失われ、ユーザーがツイッターから得るメリットは減少します。

実際に、近年ツイッターのユーザーの大半はツイートの閲覧のみに従事し、情報を発信するユーザーはごく一部に限られているというリサーチ結果も出ているのが現状です。

非効率な友人検索

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とはいえツイッターもバカではありません。

対等な目線で会話が出来る友人とのフォロー関係構築もしっかりとウォークスルーに組み込んでいます。

しかし、コンタクトを取り込めるのは、なんとメールアドレスからのみ。

実際に親しい友人と接点を持つFacebookなどの媒体からコンタクトを抽出することは出来ず、ユーザーのメリットを最大限に考えた施策であるとは言い難いのが事実です。

最後に

文中でも述べましたが、ソーシャルメディアの魅力はなんと言っても人との交わり。

特に右も左も分からない新規ユーザーにとっては「コミュニティに属しているという感覚」を感じることが継続利用のモチベーションになり、人との交わりが重要になります。

グロースの基本はあくまで継続的な利用であり、そのきっかけを作るアクティベーション施策に今後改善が加えられるか否かが、ツイッターの更なる発展を左右するでしょう。

最新の情報によると、ツイッターの新規ユーザーは益々東南アジアを中心とした途上国市場に集中していると言います。

現状のプレゼンスを考慮すればこのままFacebookと同様に途上国市場のユーザーをある程度は順調に取り込んでいくことが予想されますが、本記事で紹介した欠点の数々を見れば楽観的にばかりはなれないことも事実です。