「コンテンツマーケティング」と「行動心理学」この2つのものそれぞれは、こちらのブログの読者の皆様であればよくご存知かと思います。

コンテンツマーケティングはここ数年で注目度が一気に高まってきたWebマーケティング手法であり、行動心理学は古くからマーケティングに応用されてきたものですが、この2つを結びつけて考えたことはありますか?
実はコンテンツマーケティングの注目すべき効果は、サイトのアクセス増加への貢献だけではなく、行動心理学を利用して、当人も気付かないうちに行動を変容させる力です。

今回は、コンテンツマーケティングによって得られる行動心理学の原理・法則5つと、コンテンツマーケティング戦略への落とし込み方をご紹介します。

1.権威への服従原理

権威への服従原理とは、権威がある人や、その道の専門家の言うことは正しい、と信じてしまうことです。
出典:権威への服従原理とは何か?- YouTube

権威性を利用して信頼を獲得するという手法は古くから取り入れられています。「歯科医師推奨」や「モンドセレクション金賞受賞」などは権威を利用して自社製品への信頼を獲得するための常套手段です。

コンテンツマーケティングにおいては、「その業界の専門家」「その業界で優れている存在」であることを認識させることが重要です。ある製品やサービスについての深い知識や役立つ情報をコンテンツとして発信することで、その業界の権威として認識され「このサイトに書いてあることは信頼できる」と認識されやすくなります。

その感覚がどんどん強化されていけば、「このサイトでおすすめしているものなら信頼できる」と購買へのハードルがかなり低くなり、あなたの商品を信頼してリピートしてくれる優良顧客も増やすことができるようになります。

コンテンツマーケティング戦略によっては、サービスなどに直接的な関係が薄いおもしろコンテンツでPV数をのばすような戦術を取る場合がありますが、これは権威性の面から考えるとマイナスに働く場合も考えられます。コンテンツの中身はコンテンツマーケティングを行う目的とユーザーに与えたいイメージを考慮し、慎重に選びましょう。

2.単純接触効果

単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか)は、繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果。
出典:wikipedia

あなたも流行っている曲を街中で何度も聞いているうちに好きになってしまった、なんて経験があるのではないでしょうか?
これはコンテンツマーケティングにも適用できる考え方であり、コンテンツを通してあなたのサイトに接触するたびに、あなたのサイトやあなたの会社に対するユーザーの好感度は高まっていくのです。

好意を持ったユーザーはあなたの会社のサービスの提案に対しても好意的な反応を示しやすくなります。あなたも何か買うなら今日初めて会った人より何度か会っている人から買いたいですよね。

コンテンツマーケティングが、サイトや会社へのイメージ向上や売上向上にも貢献する理由がよく分かるのではないでしょうか?

しかしながらこの効果は、あなたが提供するコンテンツがユーザーを満足させられるものであることが前提となります。
ユーザーの好意的な態度を引き出すためにも、一つ一つのコンテンツのクオリティーを常に高めていく努力が必要です。

3.返報性の法則

人は何かしらの施しを受けた場合、お返しをしなければいけないと考えます。この心理現象の事を返報性の法則と言います。
出典:【保存用】Webからの売上を増やすために使える行動心理学、30法則まとめ

情報もある意味では「施し」であると言えるでしょう。価値のあるコンテンツをあなたのサイトから何度も受け取っているユーザーは、深層心理で「何かお返しをしなければいけない」と考えます。

もしあなたが整体院の院長で、あなたのブログを見て度々情報収集をしているユーザーがいたとします。
その人がいざ実際に整体院に通おうと思ったら、いつも色々なことを教えてもらっている恩返しの気持ちが働き、まずあなたの整体院に行こうと思うはずです。

裏を返すと、ユーザーに効果的なコンテンツマーケティングを行うためには、コンテンツの中身がユーザーにとってメリットを感じさせる情報である必要があります。

企業がコンテンツマーケティングを行う場合、早く購買行動を起こさせたいという気持ちが働いてしまい、無意識のうちにユーザーが知りたいことよりこちらが伝えたいことばかりを優先してしまうことがあります。しかしながらそれではユーザーのエンゲージメントは高まらず、効果は半減してしまいます。
リリースするコンテンツはユーザーにとって価値があるかを常に意識しましょう。

4.一貫性の原理

人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理が働く。この心理を「一貫性の原理」と呼ぶ。
出典:wikipedia

この原理は「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」と呼ばれる手法に利用されています。これは、まずは小さな要求から行い、それを受け入れるという態度を引き出した後に要求を上げていくと、最終的に購入の要求も受け入れてしまうというもので、この時の顧客側には一貫性の原理が働いていると言えます。

コンテンツマーケティングでは、最終的なゴール(製品の購入など)につなげるために、見込顧客であるユーザーに「最初の要求を受け入れてもらう」ことを意識することが重要となります。
最も障壁が低いものではいいね!やシェアなどのソーシャル拡散ですが、理想としてはメルマガ購読などユーザーに自身の情報を入力させるところまでを第一の障壁と考えた方がよいでしょう。

ポイントは要求を受け入れてもらうための導線や受け皿の設計です。
まずソーシャル拡散を促すボタンを記事のページの上部・下部につけ、ユーザーが押したいと思うタイミングで目に入るようにします。拡散方法もユーザーによって好む方法が違うため、FacebookとtwitterはもちろんはてブやGoogle+など、サイトのターゲットユーザーが使う可能性があるものは出来る限り網羅しましょう。

さらにサイトに訪問したユーザーのメールアドレスや名前を獲得するために、メルマガ購読や無料の資料のダウンロードなどのオファーも用意します。
ユーザーの目に入りやすい場所にバナーを設置し、ユーザーにオファーが伝わるようにしましょう。ここでユーザーに色々な情報を入力させようとすると離脱する可能性が上がるので、必要最低限の入力項目にとどめましょう。

▼スクロールについてくるバナーで常にオファーを表示

一貫性の原理_スクロールについてくるバナーで常にオファーを表示

実際にユーザー情報を獲得するページはこちら

5.バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、そのサービスを購入・利用する人が多ければ多いほど、一人ひとりの顧客の満足度や安心感が高まっていく心理的現象の事です。流行している空気を醸成できれば、そのサービスに対する支持をより強める事ができます。
出典:【保存用】Webからの売上を増やすために使える行動心理学、30法則まとめ

わかりやすく言うと「勝ち馬に乗りたい」という意識です。バンドワゴン効果は特にニーズが顕在化している見込顧客に対して効果を発揮する理論です。
ダイエット食品のLPなどで「太っているというコンプレックスを持っている人たち(=今あなたが属している集団)」と「痩せていて自分のスタイルに自身を持っている人たち(=より理想的な集団)」を提示し、「あなたもダイエットして理想的な集団の一員になりませんか」とオファーを出すような形で使われているのを目にするかと思います。

一般的にコンテンツマーケティングはニーズが顕在化しているユーザーよりも、購買から遠いけれど将来的に購買に至る可能性があるユーザーと出会うことに重点が置かれますが、実際には購買に近いユーザーにも多くのプラスの影響を与えます。

あなたがユーザー側の立場になったと想定すると考えやすいかと思いますが、多くの顧客は、似たようなサービスを購入しようと考えた場合、流行っていそうなものを選択します。

コンテンツマーケティングを行い、コンテンツに人が集まっている状況を作り出すことで、あなたの会社のサービスが「勝ち馬である」と感じさせやすくなります。
逆にコンテンツマーケティングをあなたが行っておらず、競合他社が行っていた場合、ブランディングの面で負けてしまうので、同レベルもしくはより高いレベルのサービスを提供していても選んでもらえない可能性が出てきます。

これはコンテンツマーケティングがある程度成功している前提で享受できる効果となりますが、実は購買に近いニーズが顕在化している見込顧客にも、大きな効果を発揮するのです。権威性や単純接触による信頼獲得などに加え、このバンドワゴン効果も意識したい行動心理学の理論の一つです。

まとめ

コンテンツマーケティングによってユーザーの行動心理に働きかける方法をご紹介しました。

現状コンテンツマーケティングを実施しているがあまり意識していなかったという方は、これからぜひ行動心理学に注目してみてください。
そしてこれからコンテンツマーケティングを始めるという方は、戦略立案の段階から、ユーザーの行動をどのように変化させていきたいかを想像しながら行動心理学を取り入れていきましょう。