はじめに:
(今回は、小説形式での説明をしたいと思います。
いいねとかシェアが多ければ、続くかも?)
■黒羽 男 27歳 (主人公)SIer からコンサルタントに転職したコンサルタント
前職は営業職で、顧客対応において多くの人と折衝を行っていた。
■田山 女 27歳 メーカー勤務。 黒羽とは大学時代からの友人。
ちょくちょく飲みに行く。
ー地下鉄ホーム 日比谷駅 夕方
プルルル。
黒羽携帯電話を鞄から取り出し通話ボタンを押す。
黒羽「あ、はい。ご無沙汰してるね」
電話の相手は、前職の部下からだった。
黒羽「あ~ その仕事ね。お客様の名前はxxさんで■■システムを使ってるから、次の提案は○○システムをすると受注できるかもしれないね。」
部下からの質問は、怒濤のごとく浴びせられた。
記憶をたどりながら、淡々とお客様の情報や対応方法に関して指示を出す。
黒羽「うんうん。気になったらいつでも相談してね。がんばってね。」
電話を切る。
ー寿司屋 夜
黒羽「前の職場の部下からさ、営業相談の電話が良くくるのよ。
いやー独り立ちしてくれなくって困っちゃうよね。
お給料ももらってないのにさ。」
”いやー さすがだね。”
”大変だね、黒羽がいなくなると。”
と友人達ははやし立てる。
若干自慢げであった、前職の部下からの電話。
職場に取って穴であったと言う事は、自分がそれだけ良い仕事を実施してきた実績であるとも言えるのだから。
それに対して、友人の田山がにっこりと笑いながら。
田山「でも黒羽君、それって引き継ぎできてないって事だよね。」
と核心を突く一言を言った。
田山「とりあえず転職決まってから、ペラ1(紙1枚)とかで用意してちゃちゃっと完了しちゃったんでしょ。」
田山「年休消化して旅行行ってる場合じゃなかったんじゃない?」
友人達に、まぁまぁと諭されながら。
田山「退職金泥棒って言われない為に、引き継ぎ内容もう一回見直したら。」
1:引き継ぎに対する心構え
3・6・9・12月は、四半期と言う事で繁忙なタイミングとなります。
転職だけでなく、辞令が発令されて引き継ぎを実施と言う事等も間々あります。
新たな職場に対して胸躍り、前職など興味がなくなるのが勤務者の常だと思います。
しかし、一旦心を落ち着かせて引き継ぎを開始しましょう。
でないと、黒羽さんの様に度々前担当から連絡がくる様になってしまいますよ。
2:正しい引き継ぎとは何か?
正しい引き継ぎとは何かというのは難しい問題です
引き継ぎ書類のフォーマットがあれば埋めたものを言うのかもしれませんし、
営業であればお客さんと顔を合わせを実施する事が引き継ぎだと言えます。
コードの継承であれば、コメントをしっかりと記載したソースコードを説明する事かもしれません。
これら全てを総じてまとめると、次に自分の任を与えられた人が同じ様に障害なく仕事を始められる準備と言うのが引き継ぎと言えます。
3:準備パート (引き継ぐ相手は誰かを研究する)
引き継ぎを実施する際に必要なのは、
だれに引き継ぐのか?その一点です。
その対象者が理解しなければ、沢山のドキュメントを用意してもHDの無駄になります。
①業務に関して大まかな分類分けを行う
②引き継ぎ先の担当者が抱えている業務と
関連のあるもの・関連ないものに分ける
③関連があるものは、オリジナルとなる項目を重点的にまとめる
④関連ないものは、前提知識から丁寧にまとめましょう
4:実行(大きなところから小さく説明)
とにかく良くある引き継ぎは、全体の大きな事と小さな事がごっちゃに説明をさせると言う事です。
担当者であれば理解できるとおもいますが、引き継ぎされる先は総じて知識が薄いです。
そうした時に、ドキュメントを渡す、引き継ぎを実施するという2点をおこなっても、引き継ぎをする時間をとって会議室を占有したという事実しか残りません。
そうした状況を打破する為に必要な事は、
①まずは全体の業事の内容説明
②細かな案件や内容説明
③質問を受付けその部分に関する説明資料を別途用意する
④再度引き継ぎの時間を設ける
こういった順を追った対応が必要です。
できれば会議は2回に分けて実施しましょう。
また、引き継ぎをする時間がないと言った事はただの甘えです。
あなたが引き継ぎを実施して説明をしなければ、次の担当者は地獄を見る事になるのです。
1時間とって説明しておけば発生しなかった情報が原因で手戻りが発生する。
そうした状況を多々見てきた身から言えば、引き継ぎって本当に大切だと思います。
5:独自情報の処理(ノウハウも程々に)
ソースやノウハウというのは、あくまで対象者が理解して実践を行わなければ引き継ぎとはいえません。
良く引き継ぎと言う時に、先祖代々伝わるノウハウ集みたいな物が渡されますが、
あれを活用するのは上級テクニックです。
たしかに開発のノウハウやお客様情報の深いところというのは引き継ぎにおいて野醍醐味の要素といえるでしょう。
しかし、引き継ぎを受ける担当は、やっていけるのか?大丈夫かな?という不安や、転職するんだ・・・敵だ!という懐疑心でいっぱいです。
そうした人達にプラスアルファーを継承する事は早い時点であきらめましょう。
もし、渡したい場合には
・客観的な情報として
・内容は簡潔にわかりやすく
・別のドキュメント
として提供しましょう。
特に、”別のドキュメント”と言うところが重要です。
引き継ぎ書の中に混在して情報展開されてしまっている事が時々あります。
相手にそれを取捨選択させるのは酷な行為です。
(そもそも、そうした大切なノウハウであれば引き継ぎに限らず早い時点でチームに共有すべきといえますが。)
6:フォローアップ 2週間後のフォローアップ実施
黒羽の失敗としては、フォローアップを潤沢に実施しすぎた事もあげられます。
フォローアップを約束しすぎてしまうと、それだけ相手は4の引き継ぎ実行パートで聞かなくても何とかなると言う気持ちになってしまいます。
その為「後から何でも聞いてくれていいから」
という不用意な発言は相手の為にならない事があります。
時間を決めて、2週間後に、引き継ぎ完了後のフォローアップの時間を約束しましょう。
引き継ぎ実施者も忘れられないレベルとなっていると言えます。
また、2週間後に実施する際に、ある程度ドキュメントを租借して引き継ぎをされる側の人間が理解し実践してくれている点も良い点といえるのではないでしょうか?
転職であれば、引き継ぎを早めに実施し離職直前にフォローを実施する等をお勧め致します。
さいごに:
ー居酒屋 夜
田山を呼び出してさし飲みをした。
ビールを飲みながら自慢げに話す。
黒羽「ってわけで、ちゃんと引き継ぎ書を作ってきたよ」
田山「今度は、ちゃんと引き継がれる人の事を考えて実施した?」
黒羽「ああ。もちろんだよ。
①まずは相手をプロファイリング
②全体を理解してもらった後、小さな説明を行う
③独自情報やノウハウは別のドキュメントとして
まとめたよ。」
田山「まぁ、いいんじゃないかな。
そこまでできれば職場の人たちも、感謝してると思うよ
本当の意味で、立つ鳥跡を濁さずになったんじゃないかな?」
田山は、僕に対して微笑んでくれた。
今日の酒は楽しめそうだ。