昨年FoodTech市場は、前年比272%の合計$1.07Bの出資があり急激にホットな市場となりました。この大きなブームの発端となったのが、この分野への投資額が最も大きなファンドであると言われているKhoslaです。2012年から2014年にかけてのFoodTech分野への投資規模はこのKhoslaが圧倒的で、市場成熟に大きく寄与してきました。後に紹介する、今ではユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上のスタートアップ)となったInstacartsやhampton creek foodsなどに投資してきたのもこのKhoslaです。
[参照] The Food Tech Startup Boom in Graphs
そうして誕生した主要企業は主に以下の通りです。主に3つのジャンルに分けることができます。
food delivery分野
Postmates 周辺のお店で売られているランチや生鮮食品、事務用品などをなんでも一時間以内に届けるサービス。ユーザーはアプリで届けてほしい物を注文すると、専属スタッフが代わりに買って家や会社まで配達してくれます。また、デリバリースタッフがいないレストランの配達なども請け負うこともできます。目当ての商品を選ぶと商品代金や配達料の見積もりが表示されます。デリバリー料は最低5ドル~。
Instacart 昨年得に名を馳せたスーパーマーケットの買い物代行サービス。指定されたエリアで買い物し、その足でユーザーの元に届ける所謂お使いビジネスと言われるモデルです。このビジネスモデルは、後発でGoogleから、オンラインで注文した商品を当日に配達するグーグル・ショッピング・エクスプレスがサンフランシスコのベイエリア限定で登場するなど要注目となっています。
food replacements分野
Hampton Creek Foods 地球や身体にやさしい植物性のクリーンフード(環境対応人口食品)の開発を進めている会社です。その一環として人口卵「ビヨンドエッグ」を製造。このクリーンフードは現在米国VCで注目を集めており、あのMicrosoft創業者ビルゲイツ氏からも資金援助を受けています。
Soylent 肉や野菜を摂らなくても生きていけるようになることを目指した完全栄養食「ソイレント」の開発をしている会社です。多忙で時間が無い人たちからの熱烈な支持でクラウドファンディングを成功させ、昨年4月から本格的に出荷を開始しています。一ヵ月間のソイレントだけで食生活を済ませることにも成功しているそうです。
restaurant tech companies分野
E la Carte レストラン専用タブレット”Presto”の開発をしています。このタブレットがお客のオーダーと決済をすべて処理することで、ウェイターはもっときめ細かい顧客サービスに集中できるようになります。このタブレットを使うようになったレストランは平均で売上が5%増大し、テーブルの回転率(滞留時間)が7~10分短縮されるとのデータもあります。
現在の動向
最後は現在の動向についてです。何と言っても最近の一番大きな動きは、イタリアのミラノで2015年5月から約5か月間にわたって行われる「EXPO Milano 2015」という、世界から2000万人を超える参加者が見込まれるイベントが行われることでしょう。これは「Feeding the Planet,Energe of Life」をテーマにしており、世界から2000万人の参加者が見込まれる大イベントです。ここで注目したいのが、アメリカ館の食にまつわるスタートアップコミュニティを盛り上げる試みである起業支援プログラム「Feeding the Acceletator」です。
このプログラムは、これは食とイノベーションに取り組むスタートアップのためのイベントです。オンラインによるメンタリングやレクチャーを施した後、参加企業をミラノに招きピッチコンテストを行います。そして集められたシェフやデザイナ、アーティストなどと幅広く各分野の一流と会することで、食に対してより深い理解を促すことが目的とされています。今年3月にFeeding the Acceleratorの公募が開始され、第一次審査を兼ねて、ミラノの国際カンファレンス「Seeds & Chips」でピッチ・コンペティションが実施されました。米国、イタリア、イスラエルなど8カ国からスタートアップ企業17社が競い、その中から優秀プロジェクトとして表彰されたのが以下の2社です。
Um.ai “あなたのポケットに栄養士を”をコンセプトに、健康的な食生活をサポートするスマートフォンアプリ。10億以上のレシピの記録、栄養素のデータも保持しています。最先端のテクノロジーの力でユーザーの食習慣を掌握することを目指します。
MintScraps これまで可視化するのが難しいとされていた食料廃棄量をデータで可視化します。そして、どこに問題があるのかを分析することによりどれだけ無駄があるのかを正確に理解することでレストランの利益最大化を目指します。他の競合レストランがどれだけの無駄を削減しているのかを知ることも可能です。
まとめ
今回は、Foodtechって盛り上がってるけど情報がまとまってるところ無いよなと思ったのをきっかけに作成しました。現状では意外にも人の手を介する割合が高いプロダクトが高いことがこのFoodTech分野の特徴的だったように思います。食は絶対に無くなることが無い市場であり、比重は違えど我々の生活に必要不可欠なものです。現在adtech、fintech、edtechとさまざまな分野とテクノロジーの融合が進んでいますが、次はこのFoodtechではないでしょうか。これから世界の食料難が囁かれているいま、少しでもテクノロジーの力で世界が良くなることに期待したいです。
調べて欲しいこと、感想、フィードバックなども随時お待ちしております。少し長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
[参考資料] The Food Tech Startup Boom in Graphs / Danielle Gould Explains the Great Food Tech Boom of 2014