ピヴォットする

そう聞いてバスケットボールを思い浮かべたあなた、あながち間違ってはいません!

スタートアップ界における「ピヴォット(Pivot)」とは、新たな仮説を検証するために、プロダクト、ビジネスモデル、マーケティング・チャネルなどの方向転換を行うことを指します。バスケットボールのピヴォット(軸足を中心に、もう一方の足を動かしながら相手選手の反応に応じて次の一手を探す)と同じように、外部環境を見極め、適応しながらプロダクトマーケットフィット(PMF)を目指すというわけです。

Lean Startupムーブメントの中心的な概念として日本でもよく知られるピヴォットですが、まだまだ意外と知られていないのがピヴォットの種類とその成功例。本記事を呼んで主要なピヴォット10種類を理解すれば、思い通りにプロダクトが市場に浸透しない時も焦る心配はありません!

①ズームイン・ピヴォット



ズームイン・ピヴォットとは、プロダクトの一部とされてきた機能をプロダクトそのものに変えてしまうピヴォット手法を指します。1つの機能にフォーカスすると言う点で、MVPの概念にも似た手法です。

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(かつてのインスタグラム「Burbn」)



ズームイン・ピヴォットの最たる成功例と呼べるのが、現在画像系ソーシャルメディアとして大人気のインスタグラム。元々インスタグラムは、「Burbn」と呼ばれる(Foursquareのような)画像共有機能付きのチェックインアプリとしてローンチしましたが、画像共有機能の継続利用率が他の機能に比べて飛び抜けて高いことを発見したことから、画像共有専門のソーシャルメディアに変化を遂げました。

②ズームアウト・ピヴォット



ズームアウト・ピヴォットとは、元々存在していたプロダクトそのものを、プロダクト全体の一部に変えてしまうピヴォット手法を指します。現存の機能のみでは、存在するニーズや問題を解決し切れない時に使われるピヴォット手法です。

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アメリカでこれ無しには過ごせないと言っても過言ではないcraigslistは、ローンチ当初でこそローカルイベントに特化したクラシファイドでしたが、その後モノの売買や就職情報にまでズームアウトした結果、月間200億PVを超える世界最大級のクラシファイドに成長しました。

③カスタマーセグメント・ピヴォット



カスタマーセグメント・ピヴォットは、問題とソリューションに関する仮説は正しいものの、誤ったユーザーのペルソナ化を理由にユーザー数を伸ばせない際に、ターゲットを変更するピヴォット手法を指します。

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(かつてのグルーポン「ThePoint」)



世界中で大人気のクーポンサイト「Groupon」は、元々「一定人数からの支援が集まった場合にのみ指定の社会貢献活動が動き出す」、社会貢献の意味合いが強い「ThePoint」と呼ばれるWEBサービスでしたが、全く同じメカニズムを「一定の人数が集まった場合のみクーポンの配布が決定する」サービスに当てはめ、カスタマーセグメントを社会貢献活動家から一般消費者にピヴォットしたことで大成功を収めました。

④カスタマーニーズ・ピヴォット



本来重要と捉えていた課題が実際はカスタマーにとって些細な問題だった場合、もしくはソリューションが存在したとしてもお金を払う意思が確認できなかった場合に、新たに抽出した課題に基いてプロダクトの方向転換を行うのがカスタマーニーズ・ピヴォットです。

元々はビデオを使った出会い系サイトとして始まったYouTubeですが、なかなか人気に火が付かない中、創業者が「ジャネット・ジャクソンのポロリ映像がネットでみつからない」という新たな課題を発見したことをきっかけに動画投稿プラットフォームの礎が築かれました

⑤プラットフォーム・ピヴォット



プラットフォームモデルから、アプリケーション提供モデル(もしくはその逆方向)にビジネスモデルを変えることをプラットフォーム・ピヴォットと呼びます。

プラットフォームモデルで一時代を築いたGREEが、時代の潮流に併せてネイティブアプリへと方向性を徐々にシフトしているのも、プラットフォーム・ピヴォットの例と言えるでしょう。

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⑥ビジネスアーキテクチャ・ピヴォット



ビジネスモデルを「高利益・低ボリューム(販売量)」から「低利益・高ボリューム」(もしくはその逆方向)に変化させるのがビジネスアーキテクチャ・ピヴォットです。

現在更なる収益化を図るDropboxは、個人向けストレージサービスから法人向けサービスに収益化のフォーカスを移すことで、「低利益・高ボリューム」から「高利益・低ボリューム」へのビジネスアーキテクチャ・ピヴォットを推し進めています。

⑦バリューキャプチャー・ピヴォット



グロースハックでお馴染みAARRRモデルの最後のR、レベニュー(収益)の発生方法(例:広告収益、フリーミアム、etc...)を変化させるのがバリューキャプチャー・ピヴォットです。

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(Gmailのネイティブ広告)


元々Gmailの主な収入源は法人アカウントを対象としたフリーミアムモデルでしたが、昨年よりGmailはメールに見せかけたネイティブ広告を開始し、バリューキャプチャー・ピヴォットに成功しています。

⑧エンジン・オブ・グロース・ピヴォット



エンジン・オブ・グロース・ピヴォットは、その名の通り、グロースを促進するエンジン(源)を変えるピヴォットを指します。

「エンジン・オブ・グロース」は3種類に分けられ、それぞれの特徴は以下の通りです。

①バイラル・エンジン



バイラルエンジンとは、既存ユーザーがサービスを利用することで自然にバイラル効果が発生し、グロースにつながるグロースモデルを指します。

フェイスブックのAPIを利用して、サービスを使う度にフェイスブックに自動的に利用状況をアップデートさせたZyngaやSpotifyがバイラルエンジンで成長した成功例にあたります。

②スティッキー(高粘着性)・エンジン



スティッキー(高粘着性)エンジンとは、バイラルエンジンほど突出したバイラル効果はないものの、リテンションを高めることでグロースを達成するモデルを指します。

スティッキー(高粘着性)エンジンは特にフリーミアムモデルに多く見受けられ、無料で継続的利用を促進しながらスイッチングコストを高め、一定のタイミングで収益化を迫るエバーノートなどがその良い例と言えるでしょう。

③ペイド(課金)・エンジン



その名の通り、広告費用を払ってユーザーを獲得し、グロースを促進するグロースモデルです。リスティング広告やフェイスブック広告がマーケティングチャネルとなりますが、広告費用に依存しないことをモットーに掲げるグロースハックでは、あまり推奨されないグロースモデルです。

バイラル・エンジンからペイド・エンジンへのピヴォットの例として、元々はバイラルマーケティングに依存していたバイラルメディア「BuzzFeed」が、フェイスブックのアルゴリズム変動以降、ペイド・エンジンに切り替えたことでトラフィックを改善した実績が挙げられます。

⑨チャネル・ピヴォット



カスタマーの手に届くまでの流通チャネルを変えるのがチャネル・ピヴォットです。

長きにわたって店舗中心にレンタルビデオビジネスを展開してきたTSUTAYAが、店舗展開からネット通販及び映像配信事業にシフトを始めたのも、時代の潮流に合わせたチャネル・ピヴォットの例といえるでしょう。

⑩テクノロジー・ピヴォット



同じ目的(問題に対するソリューション)を、異なる技術でカスタマーの手に届ける試みをテクノロジー・ピヴォットと呼びます。

元々はカードゲームを提供していた任天堂が、「常に新しい楽しさと面白さを持った商品を提供する」という目的を変えずに、カードゲームからニンテンドー64やWiiといったコンソールゲームにピヴォットしたのがいい例です。

最後に



本記事では、ピヴォットがスタートアップ界に根付いたコンセプトであることを前提に、「いつピヴォットすればいいのか」までは言及致しませんでした。

今後そうした記事を書くことも予定していますが、「今すぐ教えて!」という方は、是非以下の記事(他サイト)をご確認下さい。

ピボットの決断 – すべき時と止める時

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