Secret、Whisper、Yik Yak、Qloak…
実名制アプリは、多くのアンチソーシャルアプリの台頭に危機感を露わにしています。
Web 3.0時代のを象徴し、予てより実名制のこだわりを強く表明してきたFacebookも、例外ではありません。
本日は、Facebookが匿名制への移行を模索していることを含蓄する「4つの裏付け」を、最新のFacebookの動向を中心にご紹介します。
Secretとの「秘密」会談
Facebookは近頃、匿名制アプリとして注目を集めるSecretと文字通り「秘密」の会談をかわしたことが頻繁に伝えられています。
内容は「どうすれば二社が共同で成長出来るか」にも及んだと伝えられており、Facebookが実名制SNSから離脱したい本音が垣間見えます。
WhatsApp、Oculusに次いで約100億円でSecretを買収するとの噂も出たほどで、FacebookがSecretを含む匿名制アプリを相当意識していることは間違いないようです。
匿名アプリの開発
Facebookは、既に匿名でログイン/利用出来るアプリを開発している模様です。
Broombergの記事によれば、Facebookは昨年12月に社内でハッカソンを開催。詳細は明らかになっていませんが、ハッカソンで出たアイディアは約40にのぼり、その中の一つは匿名制に焦点を当てたものであるとザッカーバーグ自身が語っています。
グロースハックジャパンでも取り上げたFacebookのニュースアプリ「Paper」を制作したFacebook Creative Labsが開発を担当するとの情報もあり、実名制アプリの流れを作ったFacebookの姿は今は昔のようにさえ感じます。
実名制SNSの心理的負荷
Facebookのような実名制SNSは、使えば使うほどユーザーに心理的負担がかかることが様々な研究で明らかになっています。
Facebookのような誰もが使うSNSの誕生によって、元々は親しい友人と繋がるはずだったスペースがあまりよく知らない人とも繋がるスペースに変化し、その結果として自身のアイデンティティを管理しようとする欲求が働くようになったことが心理的負担の要因として特に頻繁に挙げられます。
以下の研究結果を見ても、ユーザーに心理的負担がかかっていることは明らかでしょう。
- ・ユーザーの71パーセントが投稿やコメントを記入したものの、実際に公開しなかった経験がある
- ・記入したものの、実際に公開しなかったコメントは1ユーザーにつき3.2コメント、投稿に関しては4.52投稿にのぼる
- ・442人のアメリカ人大学生に調査を行ったところ、「Facebook上のネットワークが広がるほど、(同性愛の権利や政治観を含む)タッチーな発言はしなくなった」とのアンケート結果が出る
WhatsAppの買収
巨額の買収額で話題になったFacebookによるWhatsAppの買収ですが、その本質は、Facebookが既存の実名制SNS事業のみで成長を続けていくことが難しいと判断したことです。Snapchatの買収未遂も同じことが言えます。
なぜ難しいのかという部分は様々な観点から語ることが出来ますが、前述の心理的負担もその理由のひとつでしょう。インスタント・メッセンジャーアプリはSNSに比べてネットワークの規模が小さく、(もちろんFacebookとは違った心理的負担を与えはしますが、)Facebookが与える心理的負担に悩まされることはほとんどないのです。
実際に、Facebookで繋がってはいるけど、LINEは教えないというネットワークの築き方を実践している人も多いように、ユーザーは既に自身のプライベートを確保する方法、つまりFacebookの実名縛りから抜け出す方法を模索・実践しているというわけです。
最後に
上記の「4つの裏付け」は、Facebookが今すぐ匿名制サービスに変わることを示唆するものではありません。
Secretを100億円で買収するという噂が噂の域を出ないように、匿名制サービスはまだまだその可能性が未知数であり、買収するにしても、サービスの規模はWhatsAppに比べてまだまだ小さいのが現実なのです。
参考記事:
Facebook Turns 10: The Mark Zuckerberg Interview