edited by Ryo Matsuoka ( Nyle Inc. )

follow us on Twitter

follow us on Facebook

弊社ではSEOを中心としたソリューションを企業向けに提供していますが、最近は「コンテンツマーケティング」「コンテンツSEO」などという考え方の普及が進み、コンテンツ制作に関するご相談を非常に多く受けるようになりました。

SEOという観点から一歩離れてみても、どうやってユーザーに読んでもらい、いかにしてファンになってもらうのか、ということは大なり小なりどのようなサイト運営者でも抱える課題でないでしょうか。

今回は、そういった「ユーザーを考える」ことを出発点としたコンテンツ企画を実践していきたいと思います。

<目次>

ステップ1 ターゲットユーザーの選定

ステップ2 ユーザーニーズの抽出

ステップ3 想定するユーザーの変化(態度変容)

ステップ4 具体的なコンテンツ企画

ステップ5 コンテンツの入り口と出口を考える

さいごに

ステップ1 ターゲットユーザーの選定

Untitled3

ターゲットユーザーの設定は、ポイントを絞っておこなう必要があります。そのなかでもっとも重要なポイントは、ユーザーニーズの深さです。

どのようなサイト・サービスであっても概ねユーザーは以下のように分類できます。

  1. (1)申し込むことが決まっている(toCの場合、業者の比較検討段階に入っている)ユーザー
  1. (2)いつか申し込むことになるユーザー
  1. (3)いつか申し込むかもしれないユーザー
  1. (4)申し込むことをまったく考えていないユーザー

例えば自社で扱うサービスが「SEOサービス」であれば、

  1. (1)SEOの外部委託を決めていて、業者選定に入っている企業担当者
  1. (2)サイト運営上の課題としてSEMが出ているが、直近ではリスティングに予算を投下することになり、SEOは次回の予算時から開始することになった企業担当者
  1. (3)SEOの外部委託を検討していない企業担当者(または、既に別会社でSEOを外部委託している企業担当者)
  1. (4)自社サイトを持っていない会社の人(または、自社サイトはあるがWeb担当者ではない人)

となるでしょうか。

今回はユーザーニーズの深さを4つに分類しましたが、場合によっては設定するユーザーの階層がもっと多くなることもあります。

これ自体に当たりハズレがあるわけではありませんが、ユーザーニーズの深さの分類については可能な限り詳細に分類していくべきでしょう。

いずれコンテンツを制作していく段階になると、特別な事情がない限りユーザーとサイト運営者双方の目的に近いところからコンテンツを用意していくことになります。

その場合、言うまでもなく数字が若いターゲットユーザーほど優先順位が高いということになります。

ステップ2 ユーザーニーズの抽出

Untitled2

次に、その階層のユーザー毎に具体的なユーザーニーズの抽出を行っていきます。 例えば先述の例であれば以下のようなものが考えられるのではないでしょうか。

ただし、ターゲットユーザーの分類同様、これ自体に当たりハズレがあるわけではありません。

※重複する項目が出てくるため、ここでは(1)と(4)の一部について列挙します。

(1) SEOの外部委託を決めていて、業者選定に入っている企業担当者が抱える課題

  • ①価格を安く抑えたいなぁ
  • ②知識があんまりないから色々教えてくれる会社がいいなぁ
  • ③毎月、社内共有用につくっているサイト運用の報告資料めんどくさいなぁ
  • ④リスティングの会社も決めなきゃなぁ

(4)自社サイトを持っていない会社の人が抱える課題(または、自社サイトはあるがWeb担当者ではない人)

  • ①メールなどで自社を紹介するときになんとなく不便なんだよね。
  • ②既存顧客の紹介だけでビジネスやれているけど、将来的にはプッシュ型の営業力を上げていきたいんだよね。
  • ③(営業担当者が)Web関連のクライアントが使う専門用語がわからない。
  • ④(人事担当者が)媒体への出稿だけでは限界がある。

上記は一例ですが、ここで気をつけなければいけないのは「SEO会社を選ぶための基準」や「SEO会社に求める情報」と限定するのではなく、あくまで「ユーザーが欲しがっているもの、困っていること」と広く捉えることです。

ステップ3 想定するユーザーの変化(態度変容)

Untitled4

ここでは「気づいてほしいこと、知っておいてほしいこと」を列挙していきます。

つまり、ステップ2のようなニーズを持ったステップ1のユーザーが、あるコンテンツを見て読んだ時にどのようになって欲しいかを考えていくということです。

ここでは、1つコツがあります。 単に「価格が安い会社の特徴」と客観的に列挙するのではなく、ユーザーの声として「○○なんだぁ」として列挙するようにします。そうすることによって、より具体的にユーザーに近い感覚で、ニーズを解決するコンテンツを考えることができるでしょう。

上記 (1) の例で考えていきましょう。

もちろん、自社のサービスや特徴に合わせて、ユーザーに気づいてもらいたい方向性が変わってくるはずです。

——————————————————————–

フォーマット:

【課題】———-

→ (コンテンツを見て読んだ時にどのようになって欲しいか)

——————————————————————–

(1)SEOの外部委託を決めていて、業者選定に入っている企業担当者

【課題①】価格を安く抑えたいなぁ

→必ずしも金額だけで決めないほうが良さそうだなぁ

【課題②】知識があんまりないから色々教えてくれる会社がいいなぁ

→カスタマーサポートが充実してるなぁ

→SEOとかWEB周りの考え方とか基礎知識の勉強はこうすればいいんだぁ

【課題③】毎月、社内共有用につくっているサイト運用の報告資料めんどくさいなぁ

→ある程度そのまま社内共有に使えるくらいのレポート出してくれるんだ

→SEO関連の簡潔な報告資料の作り方ってこういうのがあるんだ

【課題④】リスティングの会社も決めなきゃなぁ

→ここならパートナー企業がいるから、一緒にお願いできるんだ。

ステップ4 具体的なコンテンツ企画

それではいよいよコンテンツ案を考えていきます。

実際にコンテンツの種類や掲載する記事のタイトルを決めていきましょう。タイトルの付け方にはユーザーの目を引きやすいものとそうでないものがありますが、ここでは一旦その視点は割愛します。

あくまで、ユーザーニーズから出発したコンテンツ案を出すことに注力し、面白そうなタイトルかどうか(バズるかどうか)や実現可能性などは後ほど検討します。

——————————————————————–

フォーマット:

【課題】———-

→ (コンテンツを見て読んだ時にどのようになって欲しいか)

→→(コンテンツ案)

——————————————————————–

(1)SEOの外部委託を決めていて、業者選定に入っている企業担当者

【課題①】価格を安く抑えたいなぁ

→必ずしも金額だけで決めないほうが良さそうだなぁ

→→SEOの価格の違いはどこから来るの?(コラム記事)

【課題②】知識があんまりないから色々教えてくれる会社がいいなぁ

→カスタマーサポートが充実してるなぁ

→→カスタマーサポート事例(サービス紹介ページ)

→SEOとかWEB周りの考え方とか基礎知識の勉強はこうすればいいんだぁ

→→WEBの基礎知識はこれで完結!信頼できるブロガーと書籍15選

【課題③】毎月、社内共有用につくっているサイト運用の報告資料めんどくさいなぁ

→ある程度そのまま社内共有に使えるくらいのレポート出してくれるんだ

→→月次レポートについて(サービス紹介ページ)

→簡潔な報告資料の作り方ってこういうのがあるんだ

→→たったこれだけ!報告資料に絶対に入れなければいけない3つの指標(コラム記事)

→→WEBサイト効果検証シートテンプレ集(コラム記事)

【課題④】リスティングの会社も決めなきゃなぁ

→ここならパートナー企業がいるから、一緒にお願いできるんだ。

→→パートナー企業と周辺サービスについてのご案内(サービス紹介ページ)

ステップ1からステップ4までを繰り返し検討することで、それぞれの項目がどんどんと枝分かれし、コンテンツ案も広がっていくのではないでしょうか。

これらを繰り返しながら、「サイトに絶対に必要なコンテンツ」だけでなく「ユーザーを考慮するのであれば、こんなコンテンツもあったほうがいいよね」というものまで網羅的にカバーできるようになっていきます。

そして、ステップ1からステップ3までの検討をしっかり行うことができれば、ユーザーニーズの内容と深さを明確にした状態でコンテンツ制作に入ることができるようになっているはずです。

表面をただなぞっただけの薄っぺらいコンテンツではなく、ユーザーの知識レベルなどまで考慮したコンテンツを制作することができるようになっているでしょう。

ステップ5 コンテンツの入り口と出口を考える

ここまででコンテンツの企画が概ね出揃いました。

しかし、せっかくターゲットユーザーのニーズの深さから出発したコンテンツ企画も、自社サイトの成果に何らかの形で寄与しなければ意味がありません。また、そもそもユーザーに発見されなければ、そのコンテンツが存在する意味も乏しいでしょう。

もっとも、コンテンツマーケティングやSEO的な効果を狙ったコンテンツ追加は、即効性のあるものではありません。

じっくりとその効果を検証していく必要がありますが、それでも入り口(発見経路)と出口(そのコンテンツの目的)をはっきりさせて、コンテンツ追加を戦略として考えておく必要があります。

コンテンツの出口(~目的とKPI~)

まずはコンテンツの目的についてです。

先述の(1)~(4)のターゲットユーザーの例で言うと、数字が若いユーザー(顕在客)に向けたコンテンツほどコンバージョンに近く、数字が大きいユーザー(潜在客)に向けたコンテンツほど「発見され、共有されること」が目的となる場合が多くなります。

Untitled5

そして絶対に必要となるコンテンツは、必ずしも「バズる」ことが目的になるわけではありません。むしろ、バズを狙うあまり、自社の印象を崩してしまっては本末転倒です。

各コンテンツに設定される目的は、主に以下のようなものが挙げられます。

  • ・コンバージョン(お問い合わせ、会員登録、資料請求、予約)
  • ・ソーシャル拡散(シェア、リツイート)
  • ・リンク獲得
  • ・特定ページヘの遷移
  • ・閲覧数(PV)

など。

それぞれのコンテンツの目的を明確にして、KPIを決定していきましょう。

コンテンツの入り口(~発見経路~)

最後に、コンテンツの発見経路についてです。

各コンテンツの発見経路として考えられるものは、主に以下のようなものになるでしょう。

  • ・検索エンジン経由の自然流入
  • ・サイト内ページ遷移
  • ・ソーシャルメディア

検索エンジンからの流入が中心となるコンテンツの場合は、実際に流入元となるキーワードの選定を行っておくと、制作の段階で足がかりとなるでしょう。また、それらのキーワードが本当に有効なものかどうかの検討もここで行っておきます。

サイト内ページ遷移についてはサイト設計やリンクの配置などを検討していく必要があります。

例えば、トップページから個別ページへ、カテゴリページから下層ページへ、特定の下層ページから関連性の高い別の下層ページへ、などページ内遷移が有効に働くかどうかを考えておきます。デザインの検討も必要になってきますが、ここでは割愛します。

さいごに

ここまでコンテンツ企画について見てきました。

もっと詳細な説明や分かりやすい例を挙げることができたかと思いますが、今回は最低限考えなければいけないフレームワークを、本当に最小限でご紹介できたのではないかと思います(冗長ではあったかと思いますが…)。

コンテンツ追加にはSEOやコンバージョン改善などの裏側の目的はあるにせよ、そちらが本来の目的となってしまうと必ずしもユーザーフレンドとは言えないサイトとなってしまう場合があります。

確かに、SEOもオウンドメディアも、コンテンツの取り組みは即効性がありません。

しかし地道にコツコツと積み重ねていくことで、ユーザーにリピートしてもらいファンになってもらうということを通じ、継続して成果を出していける本当の資産となっていくでしょう。

もっとも、コンテンツ企画は企画されただけでは意味がなく、実際に制作し、サイトに組み込んでいく必要があります。その際に、企画をしっかりと制作に落としこむための体制を考えていく必要があります。

手前味噌ではありますが、弊社では企画から制作まで一気通貫のコンテンツのご提案や、詳細なヒアリングを基にした制作を行っております。(弊社コンテンツ作成代行サービス

サイト状況などを、詳細にお聞かせいただく無料相談を併催したSEOセミナーも行っていますので、ご都合よければぜひ参加してみていただければと思います。 コンテンツ企画・制作のシーンでご参考にしていただければ幸いです。