活気を見せるオンデマンド配車サービスの数々。

世界各地で様々な類似サービスがローンチする中で、圧倒的な地位を確固たるものにしているのがUberです。

たった数年という短い期間の中で、Uberの時価総額は1兆8千億円に達し、毎週20億円もの収益を上げています。

一方で、同系サービスの中で唯一Uberと張り合いを見せているのが競合のLyft。

サンフランシスコを拠点にグロースに成功してきたLyftは、ニューヨークにも活動の拠点を拡大する動きを見せてきました。

しかし、ローンチ予定日の前日、ニューヨークのタクシー業界を管轄する各団体からローンチ差し止めの命令が下り、Lyftはローンチの延期を余儀なくされます。

同系のUberは既にニューヨークにおいてサービスを展開しているにもかかわらず、Lyftのみが苦境に追いやられている現状は何も偶然ではありません。

本日は、Uberが競合Lyftを確実に潰すために実行した5つの戦術を紹介します。

参考: Here Are Five Things Uber Did To Beat Lyft Before It Even Had A Chance To Compete

Lyftに対抗して1,500億円を調達

4月にLyftが250億の調達を決定したちょうど1ヶ月後、Uberは1,200億円の資金調達を決定しました。

関係者によれば、Uberのこの動きは決して偶然ではなく、Lyftやタクシー業界の追随を止めるための調達であったことが明らかになっています。

Uberの投資家には、Amzonのジェフ・ベゾス、Google Ventures、Menlo Venturesなど、潤沢な資金を持つ投資家が名を連ねており、目には目を、資金には資金をの姿勢で真っ向勝負を挑んだことが分かります。

タクシー業界の重鎮を採用

さかのぼること5月、Uberは、タクシー業界を規制管轄する組織TLCの重要人物であるAshwini Chhabra氏の採用に踏み切りました。

この動きに対してTLCや同系組織の幹部は危機感を表明し、同氏がTLCに属していた時期のUberとの関係に関して徹底的な調査を求める声も上がっているほどです。

しかし、Uberはその後もニューヨークの公的機関で職務経験のある人材を積極的に採用し続け、真っ向から規制組織と戦う姿勢を強めています。

Lyftの好機をしらみつぶし

Lyftのニューヨークにおけるサービス開始が予告されるや否や、Uberは、低価格帯サービスであるUberXの価格を下げたのみならず、その日から2週間の間、ドライバーに毎週最低10万円の賃金を保証するに至りました。

同日Lyftが24つの都市において何回でも無料でサービスを体験できる2週間分のチケットの提供を発表すると、Uberは全く同じプロモーション企画をコネチカット州限定で提供しています。

ここまでくると、もう偶然とは言いがたいですね。

Lyftユーザーとドライバーを「買収」

6月、UberはLyftのユーザーに対して、LyftのドライバーをUberXのドライバーになるように勧誘に成功した場合、2万5,000円分のクーポンを提供する企画を実施しました。

Uberは他にも、別の配車サービスに登録してるドライバーがUberに転職する場合や、Uberのドライバーが他社からドライバーの引き抜きに成功した場合にも5万円の特別報酬を与えています。

ビジネスモデルの変更

Lyftやその他のライドシェアリング系サービスとは異なり、Uberはニューヨークにおいて法的な運営が許されています。

もちろん規制組織がUberだけを贔屓に扱っているわけではなく、Uberは、誰もがパートタイムで働けるライドシェアリングモデルを破棄し、タクシー業務の運営ライセンスを所有する基地局と提携することで法的な運営を可能にしました。

実際にUberは、現時点でニューヨークにはライドシェアリング・プラットフォームを展開していないと表明しており、事実上ニューヨークにおけるUberは他のタクシーやリムジンサービスと何ら変わりないということになるわけです。

 最後に

これだけの対抗策を張るのも、Lyftをそれだけの脅威と見ているからと考えられるでしょう。

両者の今後の争いが、サービスクオリティの向上につながっていくことに期待です。