<第1回 グロースハック座談会@電通オフィス>
【スピーカー】
・UberJapan株式会社 北尾恵子 氏
・株式会社つみき 松山岳史 氏
・株式会社ディー・エヌ・エー 山口恭平 氏
・株式会社モバイルファクトリー 松本祐輔 氏
【インタビュアー】
・株式会社電通 片山智弘

フロントエンジニアリング × チームマネジメント

株式会社電通 片山智弘(以下、片山):本日はよろしくお願いいたします。ファシリテーションをさせていただく片山と申します。それでは早速お話に入っていければと思います。まず初めに会社名とお名前、そしてご担当されているサービスと業務内容について簡単にお話し頂ければと思います。じゃあ時計回りで行きましょうか。

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株式会社モバイルファクトリー 松本氏

株式会社モバイルファクトリー 松本祐輔(以下、松本):はい。モバイルファクトリーの松本と申します。メインで担当しているサービスは「ステーションメモリーズ!」という位置情報を使ったソーシャルゲームになります。全国にある駅をかわいい女の子と一緒に、アクセス/チェックインをしてお互いに奪い合って遊びます。

片山:松本さんはどういった業務を担当されているのですか?

松本:業務としては、割と手広くやっているのですが、僕がメインでやっているのはフロントエンドエンジニア です。フロントエンドと言うと、会社によって何をやるか色々違うと思うのですが、弊社ではjsとかHTMLとかcssとかの技術的な部分と、あとはUIとかUX、ユーザーが触りやすいアプリをつくるユーザー体験であるとかをひっくるめてやっています。他には、フロント(エンジニアリングの)業務周りで、全社的な技術力の向上であったり、デザイナーとかイラストレーターのマネジメントとかをやっています。

あとは担当しているステーションメモリーズ!において、改善サイクルを回しやすくしたり、開発効率をあげたりするために、チームマネジメントやシステム設計、開発フローの構築などを行っています。 グロースハックの関わりとしてはフロントエンドとして、UIやとかUXを上げ改善するため にユーザーの反応を見たりとか、実際のデータを分析してユーザーがつまずいている部分をみて、どんどん改善していき、よりゲームを面白くデザインするところかなと思っています。

人気ソーシャルゲームのプロデュース業務

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株式会社ディー・エヌ・エー 山口氏

株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA) 山口恭平(以下、山口):DeNAの山口と申します。

今の部署で言うと、アプリとかリリースしているゲームを全般見ているのですが、その中でも僕が立ち上げた「三国志ロワイヤル」というタイトルの話が今日はメインになるかなと思っています。現在100万ダウンロード以上のソーシャルゲームなのですが、(自身がプロデューサーとして)最初に出したアプリのタイトルとして、結構色々な試行錯誤をしてきたので、今日はそんなところを話そうかなと思っています。よろしくお願いします。

片山:ありがとうございます。山口さんは普段はどういったお仕事をされているのですか?

山口:ちょっと僕説明難しいのですけど(笑)、まずプロデューサーという立場からお話するとタイトルの方向性とか、あとチームビルディングとか開発プロセス管理とかですね。このタイトルはこの戦略でいくのかとか、(三国志ロワイヤルの例で言えば)三国志の市場ってどれくらいあるのだとか、そもそも三国志のファンをもっと増やすためにどういうことを考える必要があるか、そういったところまで全部設計する。マーケティング施策もユーザーとのコミュニケーションのポリシーとかも全部決めていくっていうのがプロデューサーとしての役割です。

その際に大事にしているのは、もっとユーザーと近くなろうと心掛けることです。結局僕たちが提供しているのは、面白さなので、バリューってそこなんですよね。でも、面白さってKPI立てられないじゃないですか。ユーザーにゲームがどう思ってもらえているかって測りにくいものですよね。そういう見えないKPIとかユーザーがどういう風に思っているのだろうというところへ深く入り込むことが大切だと思っています。そうすると例えばゲームの中だけでなく、カスタマーサポートの返信が3時間だったのか5分だったのかのところとかは効果として定量的にはわからないけど、それは5分の方がいいので、それがどういう意味があるのか意味付けして、チーム全体で動いていくというのをオーナーとしてやっているという感じです。

話題のUberのコミュニティ作りを担当

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UberJapan株式会社 北尾氏

UberJapan株式会社 北尾恵子(以下、北尾):はい。「Uber」の北尾と申します。(サービスのご説明)まあUberはあれしかないんで!

一同:(笑)

片山:サービス概要って言うとなんて説明すればよいでしょうかね?高級タクシーっていうか・・・・。

北尾: Uberはスマートフォンでハイヤーとタクシーの配車ができるサービスです。そこのコミュニティづくりを全般的に担当させていただいています。

私はざっくり言うと東京というコミュニティを盛り上げるとか、最終的にはうちで利用者の方が盛り上がってくれるというか、Uberを使ってハッピーになってくれるというのが会社としての目的なので、私は何の役割というと、そのコミュニティを盛り上げるために外向けのコミュニケーション全体的に全部担当させていただいています。

そこで、グロースハックという言い方かわかりませんが、ユーザーの数を増やすとか、満足度を上げるとか、そういうところがもしかしたら今回のこの記事の中ではお役に立てると思います。具体的に申しますと、カスタマーサポ-トとあとPR、コーマーケティングとプロモーションといったマーケティングのところと、あとはソーシャルメディアでの自社での発信とかそういうところを主にやっております。

500万レビュー!日本最大級 映画レビューサイトのグロースハッカー

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株式会社つみき 松山氏

片山:では最後、松山さんお願いします。

株式会社つみき 松山岳史(以下松山):はい。株式会社つみきの松山と申します。担当は「Filmarks(フィルマークス)」という映画のレビューを書くためのサービスですね。ちょうど昨日プレスリリースを出したのですけれども、現在500万マーク(レビュー数)を突破していて、日本最大級の(映画)レビューサービスと言ってもいいのではないかという感じです!

松山:仕事内容は名刺の肩書にも書いているのですけれども、グロースハッカーという位置付けで、Filmarksの成長をさせることが僕の主な仕事内容です。グロースハック、そしてユーザー数を増やしていくことは、チーム全体でやるべきことが大切なので、その中では、まずKPIの設定をし、その成長スピードを上げていくために、開発サイクルを改善していくことです。その後も具体的に施策を打っていくと言うことになるのですけれども、その中でもどういう施策が効きやすいのだというところを見つけて、更に細かく最初に決定した指標を定めます。

その後みんなで(その指標に向かった)ABテストの案を出して、分析していくのですけれども、僕は(その案出し作業のところでは)必ずしもメインではないなと思っていて、方針とチームを作るところが一番大きな役割かなと自覚しています。

グロースハックにおけるKPIとは?

片山:ありがとうございます。それでは少しずつ掘り下げていこうと思うのですが、色々とご質問をさせていただきますので、守秘義務の範囲で教えてください(笑)。また、私だけではなく、参加者の皆様の間でも質疑応答出来ればと思っています。まず、つみき松山さんは名刺の肩書もグロースハッカーということで、(松山さんだけではなく、)社内でグロースハックのチームを組織してやっているのでしょうか。

松山:グロースハックのチームと言う肩書は無くて、サービスの方向とKPIをフェイズ毎に分けてそれに向かってやっていくチームですね。それを僕と社長と2人で中心に。

片山:社長と2人でですか!?社長も(経営だけではなく、サービスの)KPI数値も非常に意識されている?

松山:そうですね、僕が分析結果を元にこうすれば数値があがるのではないかという仮説をあげて、それを元に議論をすることを社長と繰り返していますね。

山口:KPIは何を見ていらっしゃるんですか?

松山:(2014年の)7月~12月までの5ヶ月間は「初日クリップ率」というのですけれども、Filmarksには見たもの「マーク」するのと、見たい映画を「クリップ」するという2つの動作があるのですが、特にクリップの方に重きを置いて、初めてクリップするまでの割合をKPIにしていきました。それが高いと継続的にマークもクリップもして使ってもらえると言う仮説を、まず、データで示すと初回のクリップ率が一番落ちているので、ここから上げていったらいいのではないかと伝えて、サービスのKPIに設定したという理由があります。

片山:最初のチュートリアルの段階でFilmarksのアプリは3クリップくらい映画を選んでするじゃないですか。あれもそういう施策の一環なのでしょうか。

松山:はい、そうですね。最初のこの設定があるだけで、クリップをさせる施策なのに結果的にマークまで増えて、アクティブ率がすごく上がります。それが一例です。

片山:いいですね。北尾さんのところでは、「盛り上げる」とか「利用者をハッピーにする」というのがミッションあると言うことでしたが、それはイメージとしてはわかるのですが、具体的に盛り上がったというための数字などを設定したりとかをされているのでしょうか。

北尾:そうですね。新規のユーザーさんがどれくらい増えているのかというのは市場の広がりとして見ていたりしますね。後はソーシャルのいいね!数や、ソーシャルのリーチ数を見ていたりします。

片山:ソーシャルのリーチ数と言うのは件数や届いたフォロワー数の総和、定性的に言えばポジネガ判定(Twitterのツイートの文脈を見てその発言がポジティブ、ネガティブか判断する手法)などもあると思うのですが、皆さんも見ていたりするのでしょうか。

山口:見ていますね。今Twitterはリーチ数がすごく見やすくなっていたりするじゃないですか。リアルタイム検索も見ています。ちなみに結構くだらない話で言えば、メディアとか出た後も自分の名前とかで検索していますね。

一同:笑

片山:今日の取材で1記事増えますね(笑)。

山口:そうですね(笑)。取材記事ページで「ツイートする」って(プラグインが)あるじゃないですか。あれがどれだけいったのかなとか。

北尾:確かにそれとかも見たりしますし、Twitterとかもうちはハッシュタグとか付けていなくて、「Uber(ウーバー)」などをキーワードにして、どれくらいの人がつぶやいているのか、一年前とかに「早く(Uberが)来てほしい」ってつぶやいていたツイートに「Uber来ました!お待たせしました!」とか返したり、そういう極めてアナログなこともやっています。うちは(サービスとしては)非常にデジタルなのですけど、最終的にはドライバーがいて乗ってもらってという人と人との体験があるので、そういうデジタルなところでもアナログなコミュニケーションって非常に重要かなと思っています。

片山:私もとても大切だと思います。あと、Uberさんはクーポンや利用時のチケットのインセンティブ施策があるじゃないですか。あのサービス設計で1,000円だけ引くとか、イベントに呼ぶとか色々なやり方があるのと思うのですが、そういった設計も北尾さんが手掛けていらっしゃるのでしょうか。

北尾:そうですね。例えば、最初2013年11月にUberのテスト運行をスタートした際に、初回のご乗車が5,000円引きで乗れるのを六本木近辺でやっているときがあって、平均利用金額を見ると割引をやりすぎたなってところがあったので、そういう利用動向を見て色々やっていますね。

なので、例えば今は4,000円引きクーポンを出しているのですが、2,000円引きを2回にした方がいいのか、1,000円ずつを区切ってやっていった方が良いのかなどを検討しています。カフェアプリと連携して清澄白川の当たりで、カフェ巡りをUberでしようという施策をやっていて、これは1,000円ずつに分けているのですが、どれだけ同じクーポンコードで何回いくら使えるかで利用率がどれくらい高いとか話題性があるのかはモニタリングしたりしていますね。それがPR的なネタになったりするかしないか、デジタル起点がいいのかリアルのレストランなどのインストアで直接置かせてもらった方がいいのか、ちょっとしたおまけがあったりするとどれくらい使われたりするのかを見ていたります。

片山:結果が気になりますが、守秘義務で書けないかもしれないので、この辺にしておきましょうか(笑)。

サービスをグロースさせるチームビルディング

片山:山口さんと松本さんは割とマネジメントの役割も比較的多い印象がしたのですが、チームでユーザーをグロースさせていく中で、マネジメントやチームビルディング的な観点で気を付けていることとか意識されていることはございますか。

山口:マネージャーではないのですが、他部署の人とチーム組んでやる時って、「僕達ってどこ向かっていたんでしたっけ?」というところが結構曖昧になることが往々にしてあって。1個のゲームでも、すごく難しいのが、数字だけで面白さが語れないというのがあって、いくらチュートリアルの突破率が高くても、例えばチュートリアルがワンタップで終わったら、チュートリアル突破していても、まあユーザーには通じていないじゃないですか。こういうのは結果指標でしかないので、ユーザーがどういう風な感情や遊び方になってくれたら面白いというのをちゃんと作っていかないといけない。そういったところをみんなで方向性がぶれないようにしています。

あと結構近視眼的な思考になりやすいですからそれも気を付けています。膨大なデータが取れる環境にあるので、そこだけ見て一部だけ直せばよいのではないかという思考になりがちなんです。

片山:数字強い人多そうですもんね、御社は(笑)。

山口:(ゲ-ムに関する)あらゆるデータが取れています。でも、データはゴールにたどり着くために必要な要素のひとつであり、ゴールを見失わないためにどこまで具体的に描けるかとかを大切にしています。ただ、そもそも(そのゴールイメージが)ちゃんと正しいのかというのもわかるのが結構先の話で、チームメンバーがそれをどのタイミングで何を意識するかが違ったり、そもそも面白いと思わなかったりとか、色々違うので、それをすり合わせるのが一番大変かなと思いますし、やらないとダメだなと思っています。

片山:そもそも最初のゴールイメージに戻ることと、その共通認識を作っていくのが、大切ということですね。松本さんいかがでしょうか。

松本:3つあります。1つは今ちょうど新規の立ち上げをやっているのですが、立ち上げた時にちゃんとチームの哲学とかアプリをユーザーにどう触ってほしいのかということを決めるのはかなり重要視しています。そうしないと、ユーザーからの意見が出た時にどんどんぶれてしまうので、ユーザーからこういう意見が出ても自分達はこう作っていきたいから、それは自分達の道を突き進んでいった方がいいという意思決定も結構重要視しています。

あともう1つは自分達が作って楽しいものを作るということです。数字を見ていたら、ここを変えた方が数字が上がるとわかっていたとしても、それは自分達が楽しいことなのかとか、自分達が一番のプレーヤーなので、それを遊んでいいと思うのか。若干雑な例を出すと、退会しにくくなるようにすれば退会率は減るかもしれませんが、それって自分達がユーザーに対して嫌な事をしているという気持ちになるじゃないですか。

最後は(作ると決めたことは)あまりこだわりすぎないこと。出してみないとユーザーの反応はわからないので、作る時に悩んで時間をかけてしまうよりかは、ある程度のものが出来上がったら公開して、ユーザーの反応を見て解析・改善していくようにするというのが気を付けているところです。

片山:いいですね。「こう触ってほしい。」と言う哲学は持ちつつも、ユーザーの声も聞くという、このバランスを取っていくことがエンジニアでチームをまとめていく上でも重要と言うことですかね。定性的なユーザービリティの設計は難しいですね。

山口:そうなんですよね。この前、(ある画面の)演出を0.4秒速くしたんですよ。反応速度がコンマ数秒遅いから気持ち悪いと思ったからです。適切な速さって、データで取れないじゃないですか。でも、そっちの方がやはり気持ちが良いユーザービリティなんです。パズルゲームがわかりやすくて、(動作が)速すぎても気持ち良さってわからなかったり、絶妙な感じの演出をテンポ良くやってくことが気持ちいいとか、基準がゲームごとで違っています。あと、電車の中でスマホを持っているところを想像して、今スマホはどんどん大きくなっているから、昔は左上から画面のボタン置くことは従来重要だったけれども、今電車乗って片手で(大きな)スマホ持っていたら左上を押せない。ということがあったり。でもそれを表すデータが取れないのですが、普通に考えたらそりゃそうだよね。というのをちゃんとやっていくのを結構大事にしています。

松本:それは結構ありますね。ステーションメモリーズ !は移動しないと出来ないゲームなので、電車や移動中に触ることが多いので、外でも見やすいとか、片手で操作できることがすごく重要です。数字は取れないんですけれども、作る上でこうしましょうと言うのはしっかり決めてやっています。

山口:例えば電車の中で通信たくさん走らせていたら、大変ですもんね。

松山:(そういう設計は)どういった意思決定プロセスで考えられているのですか。トップダウンでこういう機能の方が面白いと誰かが決める人がいるのでしょうか。

山口:究極的にはプロデューサーがその決定をする立場ですよ。ただ、すごい反論食らったりもします(笑)。「俺こっちがいいと思うんだけど!」って言ったら、チームメンバーから「えっ!?」みたいな。

松山:僕らの場合は社長が元々デザインへのこだわりやニーズの把握力があったりするので、そこは任せています。弊社社長もそうですが、山口さんのように決められる人が権限を持っているのはいいなあと思って聞いていました。

山口:大事なのはどういうユーザーが遊ぶのかというペルソナとかそのターゲットの人とかですよね。三国志好きな人って、30代後半から40代くらいの男性で、本とかマンガを読むのが好きな人だと思っていて、その人と自分って明確に違うじゃないですか。自分は小さいころから三国志にずっと触れているけど、(メインの)ターゲットとは違うので、そのターゲットの方に直接、「こっちとこっちはどちらが気持ちが良いですか。」と聞いて決定することもありますね。

ユーザーに選ばれるためのコミュニケーション

片山:つみきさんは(今回のFilmarksの自社サービスだけではなく、)制作会社も兼ねていらっしゃるので、そういう制作知見に基づく判断も良いなと思いましたし、山口さんがおっしゃっているユーザーからのヒアリングもサービス設計の手段としていいですよね。最近皆さんが今の役割でやっていらっしゃる直近の施策について聞いてもいいですか。

松本:さっきの話に絡めると、最近、アプリの画面上にあったメニューボタンを画面下に持ってきました。iPhone6とかiPhone6plusが出てきて、自分がプレイしていても、他のプレイしている人を見ても、届かないというユーザーが出ていたので、変更しました。後は、継続率周りの改善で、チュートリアルでページ毎にどこで離脱しているのか計測して離脱の多いところを改修したり、他にも、RPG系のソーシャルゲームだとチュートリアルで(アプリの使い方を)長めに説明しているのですけれども、位置情報ゲームだと移動しないことはわからないので、チュートリアルで「移動してみよう!」っていったら、退会しちゃうんですね。

一同:それは難しい!(笑)

松本:なので、チュートリアルはサクッと終わらせて、終わった後にどんなことをしたらいいのかを教えてあげるというのをちょっと作り込んでみたりとかしています。

山口:三国志ロワイヤルでは、広い話で言うと、それこそソーシャルメディアとかユーザーと接点持てるところをどうしていくのかまで考えています。ユーザーインタビューを実施したり、あえてメディアに出るとか。今まで、うちの会社ってプロデューサーがあまり表に出なかったんですけど、「はじめまして。プロデューサーです。」みたいな感じでメディアに出たりとかしています。するとユーザーが「お前が責任者か」とか。

一同:(笑)

そういう風に表に出て、個人として認識してもらえることがまず大事かな、と。

北尾:それと関係ありますが、前に元電通のさとなお(=佐藤尚之)さんが前におっしゃっていたのが、「ソーシャル時代になって、表も裏もないというか、全てを全部一貫して一人の人」みたいな発言をしていて、私も結構ソーシャルとかは結構ダダ漏れと言うか、色んな人とFacebookでも友達になったり、名刺交換しても「Facebookとか申請していいですか?」みたいな感じなので、私が週末どこに行ったとかいうのもバレバレで(一同 笑)。でもそういうところでどんどん点を打っていくと言うのですかね、それでファンとか自分が何やっているのかわかっていくというか、それがお仕事にもつながったりするので、今後は「Social」でつながるというのが本当に加速する気がします。

山口:究極的に使うのはユーザーじゃないですか。Facebookでつながりたくないとか顔バレしたくないというのはユーザーからしたら結構どうでもいいんです。運営側が出ることでサービスよくなるのだったら、出ようよという話で。僕からすると。逆に出るなと言われたら求められていないのだから出ないですが、とにかく運営都合で考えたくないですね。

片山:運営の都合を押し付けないのは重要ですよね。Uberさんの最近の施策はいかがですか。

北尾:そうですね。3つくらい新しく始めたのがあります。まずドライバーへのヒアリングで施策を実施しています。うちって個人情報ほとんど取っていないんです。名前とメールアドレスと電話番号、あとクレジットカード決済時にスキャンするくらいで、ですので、ドライバーさんに「この頃こんな人達が増えている」などを教えてもらったりしています。

朝はUberで通勤する人が多くて「通称ウバ通」と言っているのですが、昼間はお子様を持ったお母さんとかが結構使ったり、夜は会食とかデートで使うみたいな、ユースケースを見るようにしています。そして、それを踏まえてママアウトリーチの施策の一環で、この間yelpさんとママ向けのイベントに弊社も入らせてもらって、帰る時はUberで帰ろうと促すような、そういうユースケースごとの施策をしています。イベント協賛やターゲットをされたメディアに記事を書いてもらったりとかクーポンを掲載するのをやったりとか。

あともう1つはリアルなところにも頑張って出るようにしていて、実店舗にPOPを置かせてもらったりしています。クーポンコード2,000円分のコードが10,000枚本社から送られてきてどうやってこれを配ろうと思って(笑)。だから実店舗の人の置きたいというのをブログや自分で開拓して集めて配って素敵な感じのレストランとか美容院で配ったりとか、そこにPOPだけじゃなくて、トイレやメニューの中に貼ってもらったりとかもあります

。ちなみに今だったら「(初回限定に限るということをきちんと明記して)Uber0円。電車に揺れて160円、タクシー数千円」といったような比較コピーを使ったりしています。ですので、リアルでもそういう目につくところに置かせてもらったりしていますし、それが結構いい結果につながっていたりします。

最後にはユーザーさんのハッピーな声をユーザーさんに言ってもらうことも大切かと。更にリアルな人の声っていうのは信頼やシェアにつながったりするので。例えばイルミネーションをUberで行ってみようというのとか、夫婦の日というのが11月22日にあったのですが、その日に「夢のUberで行く夫婦ラブラブプラン」というのをソーシャルで聞いて、その素敵なプランをUberで実現したい!というのを募集したりしました。必ずブログに書いてくれるというのを条件に集めて、Uber代が無料になる素敵プランをネットにあげてもらいました。なので、そんな感じで、ユーザーさん発のコンテンツを増やしていきたいなと思っていて、これがグロースハックなのかはわからないですけど、山口さんがおっしゃっていたように本当にユーザーさんの声とかをどんどん集めていきたいなと。

松山:色々仕掛けていたりするのですけれども、ユーザーイベントを12月に初めて開催してユーザーさん100名越えの人に集まってもらいました。それが結構盛り上がりました。映画が本当に好きな人で語り合うのってすごい熱量だったりします。まだユーザー数もそこまで多くなく、やはり濃い人達が集まっているので、そこから広がっている勢いとかも感じていたりします。LINEのグループもできていて「またやろうね!」とみんな言っていて、この前の土曜日もオフ会のオフ会みたいな感じで集まっていたりして弊社社員もそこに何人か入っていたりして本当にそこで色々議論したりとかこういう機能あったらいいねということを話したりしていたので、こういったイベントを定期的にやっていきたいなと思っています。やっぱりユーザーの声はすごく大事だなと感じています。

山口:その時は「中の人です!」と言って参加するのですか。

松山:イベントを僕らが開いて、各テーブルにメンバーが入っていって一緒にゲームに参加したりとか、二次会も一緒に行ったりとかそういう感じでやっていたりしますね。あとは食事付きの試写会とかやっています。映画を見た後にその映画で出てきたメニューを食べながら話しています。

皆:行きたい(笑)!いいですね。

(以上:前編)

●前編を終えて ~筆者から~
 皆さん、サービスへのこだわりや愛着とユーザーの体験価値や声を大切にする志向性を同時にマッチさせて施策をやっている面が非常に印象的でした。グロースハックもHOW TO部分を突き詰めれば無機質な改善施策に見える一面があったりしますが、その上層にある思想の部分の大切さを改めて感じた取材でした。また、サービスの成長を中心的に担っている参加者同士ということで、参加者間の質疑や議論も大変盛り上がりました。
後編はインタビューアーの皆さんの現場での苦労や課題、そして自己研鑽や最近のトレンド、今後の事業とご自身の目標についてお話ししていただきます。

◆◆各社さんからのお知らせ◆◆
・Uberさん
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・DeNAさん
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※次回はモバイルファクトリーさん、つみきさんからのお知らせです。