世の中は広告、動画、ブログ、キャンペーン、画像であふれかえっていて、コンテンツマーケティング活動で注目を浴びることは、ますます至難の業となりました。

コンテンツの制作と消費に関する数字は驚くほど大きく、業務管理ソフトウェアプラットフォームのDomoが昨年発表したデータによれば、YouTubeにアップロードされる新しい動画300時間分、約35万件のTwitterユーザによるツイート、およそ25万件の、「いいね」されるインスタグラム上の投稿、これらがオンライン上で1分間に発生しています。

このような環境の中では、自社のメッセージに耳を傾けてもらうなどということは、とても達成できない課題のように感じられるかもしれません。

とはいうものの、質の高いコンテンツはトップに登り詰めるし、ミッションにもとづいたにコンテンツは、さらなる高みへと達するのです。

マーケティングに自社の本質的な価値観(自社を際立たせる独自のビジョンと自社ならではの特徴)を取り入れたブランドは、オーディエンスにとって本当に信頼できる、魅力的な、唯一無二の体験を生み出せるようになります。

コンテンツマーケティングをミッションにもとづいて行うことは、顧客ロイヤルティに寄与するだけでなく、増収にもつながります。

近年、「意識の高い消費」が叫ばれるようになっていますが、大きな成功を収めているブランドは、オーディエンスの関心に合うよう調整された、ミッションにもとづくコンテンツと、ブランドの使命を結び付ける方法を知っています。

Nielsen によると、世界のオンライン消費者の55%が、社会的・環境的影響に配慮する企業から提供される製品やサービスをより多く利用したいと答えています。また、Jim Stengelのブランド5万社を対象とした10年間の成長調査では、高い業績を上げている企業上位50社は、自社の理念を行動原理としていることがわかっています。

なぜならば、お金をうまく使えているという感覚は、価値を共有する顧客に幸福感をもたらし、その結果、熱心な顧客が生まれるだけでなく、口コミでの紹介をも生みだしているからなのです。

ここで、3つのブランドをご紹介します。いずれも独自の理念とミッションを中心に置くことでコンテンツマーケティングに成功しているブランドです。

Ben & Jerry’s: 世界をより良く、よりスイートな場所に

Ben & Jerry’sの成功要因の1つがおいしいアイスクリームであることは確かです。しかし、バーモント州を拠点とするこの乳製品メーカーはそれだけでは終わりません。

「当社は、企業が重要な社会運動に影響を及ぼすために、どのように声を上げることができるかを示す新しいモデルを生み出そうとしています」と、 Ben & Jerry’sのシニアグローバルマーケティングマネージャーであるJay Curley氏は、ニューヨークマガジンに述べています。

Ben & Jerry’sは長年、自慢のアイスクリーム商品を販売する以上の目的で自社のプラットフォームを利用してきました。

Ben & Jerry’sのWebサイトの「Values」セクションでは、同社が最も注力している問題(人種間の平等、民主主義、GMOラベル表示への賛同、LGBTの公平性、地球環境への配慮、フェアトレードなど)を紹介しています。

Ben & Jerry’sは、ブログの投稿で新発売のフレーバーアイスクリームのトレンドを発表する傍ら、同社が中心に据える社会的問題に関するコンテンツも頻繁に公開しています。たとえば最近人気の投稿には、「7 Ways We Know Systemic Racism Is Real」(組織的な人種差別が実際にあることがわかる7つの事例)と「The 9 Most Inspiring Things We Saw At The People’s Climate March. 」(「気候マーチ」で見た9つの非常に示唆的な出来事)などがあります。《訳注: The 9 Most Inspiring Things We Saw At The People’s Climate Marchは更新されて「Our 16 Favorite Signs From the Peoples Climate March」(「気候マーチ」で見た16の好ましいサイン)となっています。》

Ben & Jerry’sは、「Black Lives Matter」運動やトランプ大統領による米国のパリ協定離脱といった、今起こっている問題に対して強い姿勢を崩さずにきました

また、限定版や新発売のアイスクリームフレーバーを、ブランドの価値観と頻繁に連携させています。結婚の平等に賛同して定番フレーバーのチョコチップクッキーの名称を「I Dough, I Dough」に一時的に変更したことや、気候変動への認識を高めるために2015年に「Save Our Swirled」を発売したこと、2016年には人々に投票を促すために「Empower Mint」を発表したこともありました。

Ben & Jerry’sはほかにも、自社の配慮を示すための手段として、メッセージを発信する場所に資金を投入しており、同社の税引き前利益の7.5%を資金としてさまざまなプロジェクトに提供しています。2000年にUnileverによって(3億2,600万ドルという高額で)買収された後も、同ブランドが独自の取締役会を設置して、引き続きその価値観と社会的ミッションを維持することが取引の条件とされました。

重要ポイント: 当然のことながら、(Ben & Jerry’sの社会問題に関する投稿に対して、いくつかのネガティブなコメントが付いたことからもわかるように)すべての人を喜ばせることはできません。しかし、同社はその活動から成果を挙げています。

Unileverは、2015年に売上が2桁ペースで成長したと報告しています。過去15年間で業績は3倍近くになりました。また、Ben & Jerry’sの価値観を知る消費者は顧客ロイヤルティが2.5倍高いことも、複数のレポートからわかっています

「Ben & Jerry’sは信頼に足る企業です」と、Ben & Jerry’sのソーシャルミッション活動担当マネージャーであるChris Miller氏は言います。「何も支持していない人が多い世の中で、何かを支持することは非常にパワフルだといえます。」

LUSH: 人、動物、地球を保護

英国に本拠を置く天然化粧品メーカーであるLUSH は、1995年の創立以来、自社の理念を守ることを義務とし、完全にオーガニックな、動物実験を行わなずにビジネスと製造を推進するという立場を取り続けてきました。

同ブランドの「How It’s Made」ビデオシリーズ(常に10万ビューをはるかに超えるビデオクリップ集)では、生産工程と主成分の利点を紹介しています。そのゆったりとした気取らない雰囲気から、視聴者はLUSHの従業員が実際にブランドの各種商品(すべて植物由来成分。さらに80%は完全無添加)を調合する様子を観ながら、まるで友人から説明を聞いているような気分になります。

ほかにも、特定の商品の使い方や、マイクロビーズなどの成分がいかに環境問題を引き起こしているかといった人気の高いビデオコンテンツがあります。

同ブランドが動物実験を行わないことに対して非常に厳しいポリシーを採用していることも、動物実験に関与している企業と取引を行わない意向を示していることも、特に驚くべきことではありません。

Ben & Jerry’sのように、LUSHも、オンラインコンテンツやソーシャルキャンペーン、さらには商品までもを通じて、動物実験の他、さまざまな社会的・環境的正義の問題について、反対の声を上げることをためらいません。

たとえば今年初め、LUSHは髪にボリューム感を与える新しいトリートメント「Yuge」を英国で発売しました。ロンドンで開催されたLush Summit 2017で同商品を発表すると同時に、このイベントを、インクルーシブネス(包括性)についての確固たる姿勢を示すためのブログ投稿、SNS、店舗内でのメッセージングで展開される「All Are Welcome. Always. 」キャンペーンの発表の場としても利用しました。

またLUSHは、今年の渡航禁止令への対応として、「当社は誰もが世界中を移動できる自由を享受すべきだと考えています」という一文を同社の声明と店舗の窓に書き足しました。

さらに、「Lush Times」という専用のインスタグラムアカウントでは、人権や動物福祉、環境を中心としたコンテンツを投稿しています。昨年9月に開設されたこのアカウントのオーディエンス数は600人とまだ多くはないものの、LUSH UKのインスタグラムアカウントは定期的にリグラムされています。また、その存在は、これらの問題に対するLUSHの真剣な姿勢を示す別の手段でもあります。

このようなアクションと明確な意思表示は、同社にとって何ら新しいものではありませんが、現在、そのメッセージはかつてないほど多くの消費者の共感を呼んでいます。そして、それこそ、LUSHが愛用者にこれほど愛されている理由の大半を占めているのです。

重要ポイント: 確かに、バスボムやバブルバーのシンプルな喜びを世界に紹介することも同社の成功にある程度寄与しているとはいえ、LUSHの場合、成功の根源は同社のミッションの中にあります。つまり、同社のあらゆる活動に浸透している、サステイナビリティ、動物の権利保護、環境保護活動への献身が、美容ブランドがひしめく業界で同社を際立たせ、その顧客基盤から熱烈なロイヤルティを獲得している要因なのです。

Monster: 人間らしい求職活動を実現

Monster.comは歴史ある従来型のインターネットサイトであり、454番目のURL登録企業ですが、サイトのコンテンツが本当に輝き出したのは、ほんの最近のことです。

コンテンツはこれまでもMonsterの体験の一部だったと、編集長のMargaret Magnarelli氏は言います。同社は、人々の就職を支援するという崇高な目的をもった企業として始まりましたが、創業者らが投資したコンテンツ体験は長年の間に衰退してしまいました。

Magnarelli氏がコンテンツマーケティングを主導するようになってから、同氏は当初のミッションを引き継ぎ、戦略に沿って大きな成果を出しました。その結果、2016年のサイトの閲覧者数は4,300万人、ページビューは9,600万回と、前年比18%増となりました。

「当社のビジョン、そして、求職者や就業中の方を対象にコンテンツを運営するなかでの当社の役割は、求職プロセスに人間らしさを取り入れることです」と、同氏は最近、NewsCredに述べています。「私たちは生活の3割を仕事に費やしています。それは、私たちが毎日通う場所としても、そのすべての時間を過ごす場所としても、私たちの幸福に大きく結びついていますが、それだけでなく、お金を稼ぐ場所としても、生活に対する私たちの満足度に関係しています。」

「そのことについては言えることがたくさんあります」と、同氏は加えます。

Telltale sign #1: The feeling of dread when you contemplate walking through the front doors.

Posted by Monster on Friday, June 9, 2017

同社は1週間に10~15本のコンテンツ資産を作成し、Magnarelli氏が「求職者のジャーニー」と呼ぶプロセスの各フェーズに関連する記事、ビデオ、インフォグラフィックを制作しています。求人者活動には、じょうごの底の活発な求職者、最上層の新規採用者、そして、その間のすべての人が含まれます。

#ThinkContent Summit 2017で、Magnarelli氏は、オーディエンスが求めるコンテンツは、必ずしも自チームが制作したいものではないことに言及しました。たとえば、優れた業績を挙げている「Monster 100」(求人件数が最も多い企業の月間リスト)などがそうですが、同社がこのコンテンツを制作するのは、このコンテンツが自社のオーディエンスにもたらす価値を理解しているからです。

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しかし、Monsterのコンテンツが成功を収めている本当の理由は、同社のすべての活動に共感を取り入れることで、オーディエンスが不安定になりがちな時期にうまく対処できているためです。そして、求職という、時には絶望感、挫折感、フラストレーションを感じる不安定な活動を行っている人々に、人間らしさを忘れさせないという、同社のミッションに根ざし続けているためです。

重要ポイント: Monsterチームは、多くの人にとってのこのような難しいプロジェクトの重大性が損なわれないように、トーンに細心の注意を払っています。失業したニューヨークのクリエイティブディレクターによって1人称で書かれた、「Neutralize Your Toxic Boss」(有害なボスを制する方法)や「How to Deal with the Office Know-It-All」(オフィスにいる知ったかぶりに対応する方法)といった、「仕事の悲惨な状況を伝えるコンテンツ」は、同氏が手がけた、紛れもなく正直な、13週間のコラム「Life After Layoffs」のときと同様、大きな反響を呼んでいます。

Anastasia DyakovskayaはNewsCredへの寄稿者です。

元記事「The Value of Mission-Driven Content Marketing」は2017年6月21日にInsights.newscred.comに掲載され、日本語版「ミッションにもとづいたコンテンツマーケティングの価値」が2018年4月23日にInsights.newscred.jpに掲載されました。

この記事はNewsCred BlogのAnastasia Dyakovskayaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。