はじめに
幸いなことにdelyには国内最年少で海外の招待制ポートフォリオサイト『Driibbble』に招待された sadakoaという素晴らしいデザイナーがいます。しかし現実にはメインとなるサービスデザインに加え、ブログ、LP、バナーの制作など細かい仕事も多く、細かい仕事は僕がディレクターとしてデザイン未経験のインターン生と四苦八苦しながら二人三脚で担当しています。
餅は餅屋のごとく、ディレクターはサイト設計のみをおこない『デザインのことはデザイナーに任せる』というのが一般的かと思いますが、デザイン未経験者との制作ということで僕自身もデザインを勉強し、時には手を動かしながら業務に当たっています。今回は初心者がデザインを学ぶコツ、 またディレクターとしてデザインを学んで良かった事をご紹介します。
デザインを構成する4つの要素
Webデザインを考える上でその構成要素は主に4つ、配色、レイアウト、タイポグラフィ、そして画像になります。この4つにはそれぞれ古くは活版印刷の時代から膨大な経験則によって紡がれたノウハウや、認知心理学のエッセンスを織り交ぜた豊富なセオリーが存在します。この豊富なセオリーはWebデザインに限らず雑誌やチラシなどあらゆるクリエイティブに共通し、これらを一つずつ学んで行く事でデザインを見る目が養われていきます。
デザインのセオリーを学ぶ
優秀なデザイナーは審美眼が優れています。僕のような素人目にみると『なかなかイイんじゃないだろうか』と思うデザインにも、『いやここがこうダメでこうするべきだ』といった的確な指摘を行います。優秀なデザイナーと働いていると、『自分としては良いと思ったが指摘されてみるとたしかにおかしい』と反省することが多々あります。この審美眼、センスを磨くために僕はまずデザインのセオリーから学ぶことにしました。実践的な内容ではなくセオリーから遡るのは一見遠回りに映るものの、巷のハウツー本の波にのまれて行き先を見失うよりもはるかに近道ではないかと考えたからです。
参考にした本の中でも特に勉強になったのは『The principle of web design』『デザインを学ぶシリーズ(計3冊)』『Design Rule Index』です(全て読んでも所要時間は約20時間ほどでしょうか)。
なかでも『The principle of web design』はお気に入りで、構成、配色、タイポグラフィ、画像について豊富な事例を交えながら丁寧に解説がされています。個人的にはレイアウトの章が一番参考になりました。(洋書のためAmazonで紙版を購入すると5000円以上してしまうのですが、kindleでは2000円弱で購入できました)
また、数回ではありますがデッサンの教室にも足を運び、静止物のデッサンを通じて陰影の表現技法を学べたことが、ボタンなどの各パーツの陰影をチェックする際に役に立っています。
ただWebサイトを眺めるのでなく、キャプチャとメモを保存する
基礎的な部分を学んだのち、様々なWebサイトを閲覧して『なぜこのWebサイトは美しいのか』『優れているパーツはどこか』という研究を行いました。これは毎日30分ほど時間をとって継続的に行っていて、閲覧したWebサイトのキャプチャをevernoteに張りつけどこが美しくどう参考にできそうかといったメモを記載して保存しています。このevernoteはインターン生とも共有していて、デザインの幅を広げて行くことに役に立っています。 配色やタイポグラフィの原則を学んだからこそなぜそのデザインが美しいのかを自分なりに説明できるようになりました。蓄積したノートをたたき台にして、デザイナーと製作物について議論を交わす、といった使い方もしています。
デザインを学んで変わった、働き方
ディレクターとして仕事をする上で最初にぶつかった壁が『ディレクターのスキル次第でデザイナーの工数は大幅に変動する』ということでした。
駆け出しのころは、デザイナーとのコミュニケーションが上手く行えず制作の手戻りが何度も発生するというミスを繰り返してしまいました。具体的には『なんとなく違うと思うんだけどどう違うかは…。とりあえずもう少しインパクトを強くしてもらおう』というようなふわっとした指示を出してしまったり、そもそも情報設計への意識が薄く、制作も中盤に差し迫ったところでワイヤーを大幅に変更してしまうなどです。
デザインを学んで一番よかったことは、制作物に対する仮説立案や判断の質が高まり、結果として制作の手戻りを可能な限り減らせるようになったことです。デザインの思想を知らずしてデザインに口を出すことは”勘”でものを言っているに過ぎず、”勘”で課題を解決しようとして、最終的に袋小路に迷い込んでしまっていました。デザインのセオリーを学んだ事で、自分の中におぼろげながらも判断軸が形成され、それを基に少しずつでも改善をするための指針を定められるようになりました。その指針をベースにデザイナーとコミュニケーションをとる事で、社内のデザイン制作スピードを上げることができています。
また個人的には細かい点を気にする癖がついたことも、大きな恩恵です。僕はもともと非常に大雑把で仕事も細かいミスを繰り返すタイプでした。デザインを学んで手を動かして制作をしていると、1pxのズレが命取りになるという事実に愕然とします。この経験をしたことで、デザインに限らず資料作成やメールの作成一つとっても何度も確認を行い、ミスを徹底的に防ぐ姿勢が身に付きました。
最後に
Webデザインの目的はユーザーへの情報の届け方を操作することです。いかにストレスなく情報を伝えるか、どんな印象を持たれたいのか、それを設定し達成するまでのプロセスがWebデザインであると理解しています。そのため当然グロースハックとは切っても切れない関係にあります。ABテストの実施ひとつとっても、デザインの基本を学んでいれば論理的根拠に基づいたより質の高い仮説検証を行う事が出来ます。本稿がより多くの人がデザインを学び、より良い施策の実施ができるようになるための一助となれましたら幸いです。