andtheniwaslike.co

聞いたこと無い方、ご安心下さい。私も今朝まで知りませんでした。最新のウェブサービスです。

一言で言ってしまえば「ウェブ上でGIF画像を作成できるどこにでもあるウェブサイト」なんですが、ちょっと覗いてみたらグロースハックの観点から多くのこだわりが見受けられました。そこで本日は、ライフハッカー元編集長によって作られた「and then i was like…」のグロースハック施策をご紹介致します!

MVP

以前の記事で、MVPを「必要最低限の能力を兼ね備えたプロダクト」と定義致しました。

①顧客の真のニーズを知る、②ピヴォットしやすくなる、③余計なコストを割かなくて済むという3つの効果故に、スタートアップに必ずオススメしたいMVPの製作ですが、今回ご紹介する「and then i was like…」は、その教えに忠実な必要最低限の能力を兼ね備えたプロダクト(サイト構成)になっています。

*MVPに関する記事URLはページ最下部に記載

①GIF画像製作に特化

「and then i was like…」は、GIF画像が集まるプラットフォームではなく、画像を製作する場としての機能に特化しています。プライバシーに関するお知らせとして「今後はどうなるか分からないが、現状ではリンクを見た人しかGIF画像にアクセス出来ない」となっており、今後はプラットフォーム化も視野に入れている様子が伺えますが、現段階において不必要な機能を排除している点はMVPの観点から非常に評価できます。

②余計なサブ機能は一切なし

GIF画像製作サイトにありがちなのは、特殊効果をつけたり、画像を組み合わせてGIF画像を作れるようにしたり、製作に特化しながらもサブ機能をふんだんに盛り込んでしまうケースです。

その点「and then i was like…」は、「ウェブカメラで動画を取って、GIFに変換する」という機能にほぼ完全に特化(シェアボタンと最小限の編集機能はあり)しており、余計なサブ機能を見事に省いています

Acquisition(ユーザー獲得)

*AARRRに関する記事URLはページ最下部に記載

ご覧の通り、ログイン画面はかなりシンプルな構成です。以前紹介して大きな反響を読んだTumblr.の構成にもやや似た感じがありますね。

*Tumblr.のUIに関する記事URLはページ最下部に記載

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「Express yourself with gifs using your webcam.(ウェブカメラを使ってGIFであなた自身を表現してみよう)」という大きなコピーの下に、分かりやすく黒のバックグラウンドで「I WANT TO MAKE A GIF!(GIF画像を作りたい!)」という次のステップへの導線(リンク)が敷かれてあります。

相手の思うがままにクリックしてみると、①ツイッター、②フェイスブック、③グーグルプラス、④匿名で参加(ログイン不要)の選択肢を表示する以下の画面が出てきます。有名SNSはしっかり抑えてありますね。

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選択肢の下には「WHY LOG IN?(なぜログインする必要があるの?)」の文字が下線付きで表示されており、「ログインすることで作成したGIF画像を全て保存・管理出来る」というベネフィットが説明されています。提供するユーザー体験に自身があるからこそ、一度匿名で体験させてからよりベネフィットの多いログインに踏み切らせる、本来であれば二重とも言えるステップも設けているのでしょう。

Activation(初回体験)

登録が終了した後も、そのUIはとにかくシンプル。

「MAKE A NEW GIF(GIF画像を作る)」というタブが目立つ形で設置されており、ユーザーからすればやることもそれに対する手順も明確になっています。

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ポチッとしてみると、Webカメラを利用する許可を下ろすように、これほどかというまでに分かりやすい指示画面が。Webに疎いユーザーでも安心です。

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「許可」をクリックすると、早速GIF画像製作画面に到着します。

Screen Shot 2014-02-21 at 0.07.48

メインの要素は、①タイトル(オプショナル)、②撮影ボタン、③説明文(撮影ボタンを押すと、3秒後に撮影がはじまり、3秒間レコーディングの時間が与えられます)の3つ。しかしシンプルで美しい、良いUIです。

ということで、実際に撮影してみました。全くおもしろくない映像に仕上がってますが、初めてGIF画像を作成したこと、お仕事中だったのであまり大きなアクションは取れなかったことを考慮頂ければ幸いです。

撮影が終了すると、以下の画面が登場します。ここでは、①逆回転でGIF画像を再生、②3秒の中から好きな部分だけをクロップという2つの編集機能と、③セーブ及び④撮り直しの計4つの新たな要素が登場しています。この画面も必要最低限の機能のみに絞ったミニマリズムを意識した様子が伺えます。

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ひと通り編集機能に触れた後、早速セーブしてみると、20~30秒ほどで手軽にGIF画像が作成できました。MVPの教えに忠実なサイト構成だけあって、利用方法も分かりやすく、最初の体験としては自身でGIF画像を作成することに興味のない私でも、満足いくプロセスだったなという印象です。

Retension(継続的利用)

リテンションは①私自身がGIF画像やTumblr.の熱心な利用者じゃないこと、②サイトが立ち上げられてまだ間もないことがあり、まだまだ分析が難しいところですが、少なくとも以下の項目は現段階でも確認出来ます。

①トップページに自分のGIFが保存されていく

ログインすることで、トップページに自分が作成したGIF画像がどんどん更新されていきます。言うなればフェイスブックのタイムラインのようなもので、継続的利用を促したい意図は伺えます

②既存ソーシャルメディアから他ユーザーのフォローが出来る

私のソーシャルメディア周りで「and then i was like…」を利用しているユーザーがいなかったため、どんな風にフォロー関係が反映されるのかは分かりかねますが、ログインに使ったソーシャルメディア内にユーザーがいれば、フォローも可能なようです。

フォロー関係の構築はリテンションに不可欠のため、今後は単なるGIF画像の製作からTumblr.のようなGIFが集まるソーシャルメディアにシフトしていきたい意図が感じられます

Referral(紹介)

こちらは、GIF画像製作後のUIです。

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ログイン方法から分かる通り、PRはソーシャル上での拡散に焦点を当てているため、シェアしやすい仕組みは整っています。

単なる大手ソーシャルメディアのシェアボタンだけじゃなく、リンクとhtmlタグのコピーも用意してあるあたりはさすが。htmlタグのコピーが出来れば、GIF画像の宝庫Tumblr.でそのまま貼り付けることが可能になりますからね!

Screen Shot 2014-02-20 at 14.31.56

 (Tumblr.にhtmlで貼り付けてみました)

Revenue(収益化)と今後の課題

収益化に関してはまだまだ先の話になるので、分析という分析は出来ない状況です。

GIF画像を扱っている点でTumblr.同様に10代から20代前半がターゲットになることは容易に予測できますが、GIF画像で自分自身を表現する場を提供する「and then i was like…」と様々なGIF画像やリッチメディアを扱うTumblr.が、全く同じ形でマネタイズする可能性は低いのではないでしょうか。買収狙いという考え方も出来そうです。

今後の課題として真っ先に挙げられるのは、間違いなくアプリもしくはスマホ最適化のどちらかでしょう。 携帯電話からも確認したところ、スマホからの視聴は最適化されていないのが現状であり、モバイル率の高い10代向けのサービスである以上、喫緊の課題であることは間違いないでしょう。

 参考記事

andtheniwaslike.co

グロースハックの大前提 「MVP」の種類と実例 5選 

「AARRR」 今更だけど絶対抑えておくべきグロースハッカーのコンバージョンの見方

 絶対参考にしてほしい、Dropboxに負けないTumblr.の秀逸なユーザー登録UI