グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方 (グロースハックに関する最も確実な手引書「4/9」)

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自動車のオイル交換を行ったことがある人なら、ファネルが何であるのかはおわかりいただけると思います。

ファネルとは、日本語に直すとじょうごであり、エンジンにオイルをさしやすいように、大きく開いた上部から下に行く程開きが狭くなっていく器具です。

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ファネルは流体のように取り扱いにくいものを目標の場所に流入させる際に、非常に使い勝手の良いものなのです。

プロダクトのグロースに携わっている読者の方々は、アカウント作成・レベニューの発生等といった目標達成のために、流入を増やすことを自らに課していることでしょう。

しかし、そこで問題となってくるのは、ネット上にいる人々が自由意志に基づいて行動しており、行動を予測することが不可能であるということです。

もし、あなたが人々に自分が望んでいる行動を取ってもらいたいのならば、コンバージョンファネルを用いる他ないのです。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実な手引書

Chapter 4:グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方

目次

・  コンバージョンファネルには3段階ある

・  ファネルの導入による最適なコンバージョン率

・  ファネルがタスクの優先順位を決定してくれる

・  コンバージョンの見方

・  まとめ

コンバージョンファネルには3段階ある

ファネルの第1段階は、まずプロダクトへの流入を増やすことから始まります。

つまり、自社のウェブサイトやアプリへの新規訪問者(ビジター)を増やすということです。(この段階ではまだ自社プロダクトの成長に寄与してくれるかどうか未知数である為、「ビジター」と呼んでいます)

新規のビジターはまだ何かアクションを起こしたわけではなく、メンバーでもユーザーでもありません。

まだあなたのプロダクトとは何も結びつきがないのです。

自社サイトを訪問してもらうための方法は3つ、そしてこの3つしかありません。

ネット上の人々を誘導(プル・タクティクス)、彼らの目にとまる形で告知を行う(プッシュ・タクティクス)、あるいはプロダクト自身の特長を活かす(プロダクト・タクティクス)の3つです。

この3つの「プ」は、後日掲載する3つの章で詳しく述べていきます。

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・自社サイト・プロダクトを初めて訪問した人は、目隠し状態に等しい

自社サイトにビジターを誘導することに成功したとき、新人は自分がグロースハッカーとしての任務を完遂したと勘違いしがちです。

しかし、ここで終わってしまっては元も子もないですね。

厳しいことを言うようですが、ビジターをメンバーにしなければ意味がありません。

彼らが大なり小なり行動を起こし、あなたのプロダクトと何らかの結びつきが形成されたとき、初めてメンバーとなるのです。

自社プロダクトとの関係性は、ビジターがメーリングリストに登録、アカウントの作成、またはプロダクトを購入する等の行動によって形成されます。

このように何らかの形でプロダクトと関わっている人を、メンバーと呼んでいます。

後日公開するChapter 8では、ビジターをメンバーに移行させるためにグロースハッカーが行う施策を紹介していきます。

・ビジターをメンバーに、ビジターをユーザーに移行させるのは、非常に困難である

メンバーをアクティベートさせることは想像以上に困難なことであり、メンバーをユーザーにすることはさらに難しいことです。

ユーザーとはメンバーよりもさらに自社プロダクトへのコミットメント度合いが高く、常習的にプロダクトを利用している人のことを指します。

AARRRで言うところのリテンション(retention)を達成した人だけが晴れてユーザーになるのです。

ユーザーをリピートさせることに成功したならば、あなたはグロースハックの究極的目標をほぼ達成したとも言えるのです。

Chapter 9では、グロースハッカーがリテンションを高めるために行う施策に関して述べます。

参考記事:

イケてるサービスがAARRRのAA改善で意識している21のこと

「AARRR」 今更だけど絶対抑えておくべきグロースハッカーのコンバージョンの見方

ファネル導入による最適なコンバージョン率

自社プロダクトにとって最適なコンバージョン率を把握せずに、企業収益を向上させることはできません。

当然ながら、ファネルの下の階層に行く程、メンバーの数は減っていきます。

一月の間に10万人のビジターが流入したかもしれませんが、その内メンバーになるのは1000人(コンバージョン率1%)で、継続利用したユーザーはわずか700人(コンバージョン率70%)だったとします。

これらのコンバージョン率は果たして高いのでしょうか?

ここまでに与えられた情報だけでは、複数の理由で判断できません。

・自社サイトへのトラフィックは自社プロダクトに魅力を感じてくれる流入源から来ているのでしょうか?、それとも自社サイトの最初の行を読んだだけで、他のサイトに行ってしまう人々でしょうか? 的確なトラフィックは、確実にユーザーへのコンバージョン率を高めてくれます。

・ユーザー獲得をどのように定義していますか? レベニューが生じた時点でユーザーを獲得したとするのか、メールアドレスを入手した時点でユーザーを獲得したとするのとでは、自ずとコンバージョン率の善し悪しの判断は変わってきます。ビジターにより多くのお願いをする程、必然的にコンバージョン率は下がります。

・あなたが提供するプロダクトのペルソナがいる市場は、リテンション率が高い市場でしょうか?、それとも定期的に使うユーザーがいることは、その市場では例外的なことなのでしょうか? 同様に、あなたのウェブプロダクトは生き残っていくためには、高いリテンション率をそもそも必要としているのでしょうか?

ファネルによるコンバージョン率を判断するのに必要な変数が全て揃ったとして、決断を下す上で頭にとどめておくべき点が3点あります。

 成長のために行っている施策が正しければ、データが示す定量的情報は常に向上しているはずです。もしそうでないならば、何か間違ったことを行っている可能性があります。不確定な要素を考慮したとしても、過去と比べて月間PV数やUU数は向上していくはずなのです。

・バディーを作ることで、より効果的なファネルの利用が可能になります。自分のプロダクトとは競合しませんが、性質の似ているプロダクトを扱っているグロースハッカーが身近にいる場合は、互いに数値データを共有することも1つの選択肢です。自社のファネルの成功率を測る指標として、これ以上の手法はないでしょう。

・ ファネルの各階層はそれぞれ独立して存在しているわけではありません。例えば、ビジターを1000%増加させることに成功したとしても、その施策によりリテンション率が0.05%下がったとします。この結果を受けて、リテンション率が下がったことを嘆いていたとしたら、視野が狭いですね。確かにリテンション率は下がったかもしれませんが、実際のユーザー数は増えたのです。グロースハッカーの目標はファネルの各階層を通して、最もユーザー数が増えるようなコンバージョン率を成し遂げることにあるのです。木を見て森を見ないことのないようにしましょう。

ファネルがタスクの優先順位を決定してくれる

ユーザーを獲得していく段階で、どこにグロースチームとして力を注ごうか悩んでいる時、ファネル自体がこの決断を代わりに下してくれることがあります。

もしあなたがビジターの内50%をメンバーに、メンバーの内50%の人をユーザーにコンバージョンすることに成功しても、一日あたり200人しか自社プロダクトに興味を持ってくれるユニークビジターしか獲得できていないのならば、自ずとビジターの数を増やすことに尽力した方がいいでしょう。

当然、他の状況下ではビジターを増やすことよりも、ファネルの下の階層へのコンバージョン率向上に力を注いだ方がいい場合もあるかもしれません。

これと関連した話として、Chapter 1でもご紹介したSean Ellisは、ファネルを活用したタスクの優先順位決めを行う上で、プロダクト・マーケット・フィットという概念を社会に広めました。

Seanは普段から、

もし既にいるユーザーの内少なくとも40%以上の人が自分のプロダクトが無くなったとした時、「非常に残念に思う」と答えなければ、まだプロダクト・マーケット・フィットを実現できたことにはなっていない

と述べています。

これが意味するところは、プロダクトがなくなったことにより残念に思う既存ユーザーが全体の40%を下回るとしたら、十分に人々のニーズに応えきれていないということなのです。

この場合はプロダクトがユーザーに愛されていないということであり、グロースよりもプロダクト自体の改善に注力する必要があるでしょう。

Seanが言おうとしていることはつまり、人々が絶対に欲しいというようなプロダクトを創る前に、ビジターを増やしたり、ファネルの最適化は行うべきではない、ということなのです。

しかし、この議論は一見、鶏と卵の話に陥りそうな感があります。

そもそもトラフィックがなければ、自身のプロダクトがなくなることによる人々の落胆ぶりを知る方法がありません。

一方で、プロダクトがユーザーに提供するコアバリューが人々のニーズにドンピシャでない場合、ファネルの最適化のために行う努力も空振りに終わってしまう可能性があります。

そこで、本記事で推奨することは次の方法です。

ファネルを実際に適用し、Chapter 1 ~ 3で述べたこと、Chapter 5 ~ 9でこれから紹介していく手法を、十分なユーザー数を獲得するために活用し、その後各プロセスに戻って、人々のニーズにどの程度プロダクトがフィットしているのかをまず検証してから、同じサイクルを回すことです。

自分の行っていることがプロダクトの成長のために正しいことなのかを判断するためには、事前にある程度のグロースを実現している必要があるのです。

ただ一つ言えることは、人々が欲しがってもいないプロダクトのグロースハックに身も精神も削るのは無駄であるということです。

コンバージョンの見方

growth hack japanでも度々取り上げているAARRRというコンバージョンの見方ですが、これはDave McClureによって初めて提唱されました。

ここではAARRRより少し簡略化した見方をご紹介します。

それは、「ビジターを獲得する、メンバーをアクティベートする、ユーザーを保持する」の3段階です。

この見方の利点は:

・  ビジター、メンバー、ユーザーとファネル内の別の階層にある人々の異なる状態が意識されている点。

・  リファラル(AARRRでの最初の「R」)はトラフィックを得る手法の内の一つに過ぎません。そのため、この項ではリファラルをビジターの獲得の下の階層に置くことによってファネルを簡略化できる点。

・  レベニュー(AARRRでの2つ目の「R」)もアクティベーション(AARRRでの2つ目の「A」)の一形態なのです。もし、ユーザーが何かを購入することをプロダクトのアクティベーションとするならば、レベニューを新たな項目としてファネルに加える必要はないのです。

・  簡略化されてはいますが、AARRRに含まれているエッセンスを全て包含できている点。

本連載の目次:

グロースハックに関する最も確実な手引書 

まとめ

・  ファネルは流体や市民等のように、自分の思い通りに扱いづらい対象を目的地に流入させる際、非常に有効である。

・  グロースハッカーのファネルには3つの階層がある

*ビジターを獲得する – 人々を自社のサイト・プロダクトに着地させる

*メンバーをアクティベートする – 人々に所定の行動を取ってもらえるよう補佐する

*ユーザーを保持する – 人々に自社プロダクトを常習的に利用してもらえるよう、施策を講じる

・  自社プロダクトにとっての最適なコンバージョン率を見極めることは非常に困難ですが、以下のことを頭に入れておくと助かるかもしれません:

*過去のデータからは常に今のデータが向上している必要がある

*互いにグロースに関するデータを共有できる良き友を見つける

*ファネル内ではコンバージョン率の各階層は互いに干渉し合うため、ファネルの全体像を常に把握していること

・  コンバージョン率が最も低い箇所に力を注ぐべきである。

・  プロダクト・マーケット・フィットを実現するためにはある程度のグロースが必要だが、プロダクト・マーケット・フィットを見つけるまでは、プロダクトのグロースにとらわれすぎないすぎないことが重要である。





Author Profile

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Takaya Uchida
 

東京大学工学部を2014年に卒業し、卒業に際して工学部長賞を受賞。グロースハックを研究。2014年秋からコロンビア大学の博士課程に5年間留学予定。

 

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Author: growthhackjapan

グロースハックジャパン運営アカウントです。国内外問わず、グロースハックに関する最新ニュースや成功事例を紹介します。

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