(写真提供: GrowthHacker.jp)

グロースハッカーマンスの1stセッションに参加してきました!!!

グロースハック関連の話題にアンテナを張っている皆様なら既にご存知のように、2014年2月の一ヶ月間は、グロースハックに関する講義やグローサソンを含む、「Growth Hacker Month」と称したイベントが東京で開催されています。

主催するのは、株式会社リクルートホールディングスと、グロースハックジャパンのインタビューでもおなじみのAppSocially CEO高橋雄介氏。シリコンバレーと強いパイプを持つ主催者の力により、著名サービスのグロースを支えたリアルなグロースハッカー複数名が、「Growth Hacker Month」のためだけに来日しているんです!

こんな貴重な機会を逃すまいと、仕事の合間を縫って私も参加した1stセッションの模様を本日はお伝えします!

セッション概要

六本木ヒルズ内アカデミーヒルズで行われた、Growth Hacker Monthの1stセッション。

日本でもおなじみのHuluのマネタイズを支え、現在は500Startupsでスタートアップのメンターを務めるアンドレイ・マリネスク氏による講義を中心にイベントは進行しました。

当日のスケジュールは以下の通り。

  • ・高橋氏による挨拶
  • ・マリネスク氏による講義
  • ・Q&A
  • ・立食パーティー

高橋氏の挨拶は短いものでしたが、「グロースハッカーやグロースチームは、プロダクトを売るんじゃなくて、自ずと成長するサービスにする」というグロースハックの基本であり最も重要な考え方を強調していらっしゃったことが印象に残っています。

肝心のマリネスク氏による講義はというと、グロースハックの定義、グロースハックの基本ステップ、グロースハッカーとしての心得といった基本的な部分に始まり、中盤から後半にかけては、Huluの有料サービスHulu Plusがいかにして課金ユーザーを獲得し、継続率を最適化していったかという話に及びました。

おおよその内容はノートに書き記したのですが、既に翻訳・要約してあるブログ記事も配信されておりましたので(講義は全編英語で行われました)、私の独断と偏見で重要だと思った要点のみを備忘録も兼ねてご紹介致します!

①プログラミングが出来る必要も、真新しいスキルもいらない

マリネスク氏は、大学時代に生物学専攻し、その後MBAを取得。

典型的なビジネスマンタイプであり、学歴だけ見れば、ウェブサービスに特別強い印象も受けません。

実際に以下にあるマリネスク氏のスキル・経験を見てみても、決して真新しいスキルが存在することはなく、グロースハックでは開発力以上にモノの考え方が大切(特に科学的な仮説検証能力)だということが分かります。

  • ・SEO
  • ・データ解析
  • ・ユーザービリティテスト
  • ・Emailマーケティング
  • ・コンバージョン最適化
  • ・A/B テスト
  • ・ブランディング
  • ・CPC広告

②費用対効果に執着

LTV(顧客生涯価値)は、CPA(顧客獲得単価)の3倍以上であることが理想だそうです。Hulu Plusが月額約800円、平均継続期間が1年間だとすると、一人の課金ユーザーを獲得する為に3,200円以上のCPAを割いてはいけないということですね。

③ユーザー検証に使うプロトタイプは最小限の機能だけ実装

こちらは先日の早朝グローサソンでも話題に上がりましたが、エンジニアはアイディアを思いついたらどうしてもすぐ形にしようと試みてしまうものです。

しかし、高速なサイクルで仮説検証プロセスを回すグロースハックにおいて、ありとあらゆる機能を検証段階で実装するのは賢明な判断とは言えません。検証段階においては、顧客開発の結果を基に、プロダクトマーケットフィット(最適な製品を最適な市場に送り出すこと)を達成する為に最低限必要な機能のみ実装(=Minimally Viable Product)しましょう。

④エンゲージメントとリテンションに注力

グロースと聞くとユーザー獲得にばかり目を向けるベンダーが大半ですが、新規ユーザーを獲得するよりも、既存顧客の継続利用を促した方がはるかに大きい販売コストの低下が見込めると実証されています。もちろん、最適なユーザー体験を既存顧客に提供しない限り、自然にバイラル効果が生まれる可能性はほぼ皆無と言って良いため、既存ユーザーに長く、良い体験を提供出来るかがグロースハック成功の鍵になると言えるでしょう。

トラッキングするメトリックスも、単純なダウンロード数やユニークユーザー数ではなく、DAU/MAUを使うなど、フォーカスはあくまで継続率に据えましょう。

⑤ライティング能力も立派なグローススキル

ひとつひとつの単語が、時に成果に数パーセントの差を生み出すこともあります。Hulu Plusが新規ユーザー獲得導線最適化を図る上でも、全てのエピソードを見れるという特徴を「シーズンチケット」というやや伝わりづらい表現を利用したことで、一部のユーザーを獲得出来なかった例が挙げられていました。ライティング能力がいかに大切かが分かりますね。

⑥シンプル・イズ・ザ・ベスト

プレゼンスライドがないと紹介しづらいのですが(スタッフの方から写真はNGとの指示があり、写真を取れませんでした。本当は取ってもよかったようなので、次回参加のときはしっかり撮影してきます。)、最適化されたHulu Plusのランディングページは、最初のLPに比べて格段にシンプルになっています。

  • ・パラドックス・オブ・チョイス

選択肢が多ければ多いほど、ユーザーは選択に慎重になる傾向にあることを理解しましょう。

  • ・「穴」を塞ぐ

エントリーフォームに続くLPにグローバルメニューやフッターを丁寧に設置することは、自ら見込み客にどうぞ出て行ってくださいと言っているも同然です。他ページの無駄な導線は削除し、ユーザビリティに傷をつけない程度に「穴」を塞ぐ努力を心がけましょう。

  • ・コア機能だけアピール

大好きな商品の魅力を思う存分伝えたい気持ちは理解しますが、デバイスの画面が表示出来るコンテンツ量には制限があります。アピールするのはユーザーが魅力的と感じるコア機能のみに絞りましょう。もちろんあなたが考える魅力がユーザーの考える魅力とは反する場合もあるので、データに基づいた仮説検証を行いましょう。

⑦記入項目を減らすだけがEFOじゃない

Huluでは、メールアドレスや名前などの基本情報のみを記入する無料アカウント用エントリーフォームと、最低限のカード情報のみを記入する有料サービス用のエントリーフォームを別々に設定しています。大半のユーザーは無料アカウントを一定期間利用してから有料サービスに移行することを考えると、同じ数の項目を結果的に記入させたとしても、一度に全ての個人情報を入力させない場合の課金時の障害は大きく低下することが容易に想像出来ますね。

⑧解約しづらく、でも最後まで良い人で

Hulu Plusでは、リテンションを高める為に、解約しづらい仕組みを整えています。

とはいえ露骨に解約フォームを隠したりしてはユーザーから悪評が立ってしまいますので、以下のような形で最後の最後まで粘るのがグロースハッカー流です。

  • ・「お困りですか?」のメッセージと共にカスタマーサービスの電話番号を表示

「使い方が分からない」という初歩的な理由での退会を防ぐため、まずは電話でのお問い合せを推奨します。

  • ・「アカウント一時停止」オプション

ユーザーは、退会の代わりにアカウントを12週間の間一時停止することが出来ます。ユーザーが何もアクションを起こさなければ自動的に12週間後に支払いが再開することになり、一時停止後にうっかり忘れてしまう人間の性を上手く利用しているという見方も出来るでしょう。

  • ・最後の最後まで粘る

上記のオプションを提示しても解約を望む場合には、最終兵器「1ヶ月無料」特典が与えられます。もちろんHuluはただ単にユーザーのエンゲージメントが向上するのを待つだけではなく、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズされた番組表を1ヶ月の間にメールで定期的に送信するケアを欠かしません。

それでもユーザーが退会を望む際には、アンケートフォームが現れる施策が取られており、ユーザーから出来るだけ多くのものを抽出しようとするHuluの貪欲な姿勢が見受けられます。

最後に

いかがでしたでしょうか。

写真が無くて大変心苦しい限りですが、少しでも何か持ち帰って頂ければ嬉しいです。

Growth Hacker Monthの今後のスケジュールに関しては、AppSocially CEO 高橋氏が運営する GrowthHacker.jpまで!

私もなるべく多くのセッションに参加し、皆様に耳寄りな情報を提供出来れば幸いです。